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□枢木組の受難
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枢木組の受難(壱)
彼の名前は枢木スザク。
日本の極道中枢を締める、枢木組の若頭であり、第25台目である。
ふわふわな茶色の髪に、全てを見透かし何処までも澄み渡る緑色の瞳。柔和な笑顔に時折見せる確固たる信念の強さを秘め、立ち振る舞いはまるで虎の様だ。
そんな若君は第24台目である枢木ゲンブ殿の愛息子であるが故、今や最終決定権はゲンブ殿にあるが、全ての組の方針は若君が行っている。
頭脳派ではないが、人並み外れた運動神経と超人的な勘でいくつもの修羅場を切り抜けて来た。
………が、
今、枢木組は史上最悪の自体に陥っている
「若、」
「…………藤堂さん」
自分が話しかけると、若は疲れた様に笑みを零し、もう時間が無いと告げれば先程とは打って変わった声音と雰囲気を醸し出す。
「…………そう、藤堂さん、今すぐ先鋒に連絡を取って下さい。」
「御返事の方は?」
スッと双方を細め遥か遠くを見つめた。その瞳はどこか寂しそうだと思ったが、若の言葉に意識を集中させた
「『yes』だ、と」
彼の名前は枢木スザク。
枢木組の若頭、彼の受難はまだまだこれから――…、
08.02.29