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□枢木組の受難
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 枢木組の受難(弐)



「絶対嫌よっ!!!」

バンッ!と畳みを叩く音が響いたと同時に部下達のヒッと声を飲む音が聞こえて来た。

「し、しかし…お嬢……!」

「しつこいわ。」


まるで蛇の様に喉元に食いついて離れない恐怖が部下達を包み込む。だが、ここで引く訳にはいかないと、意を決して目の前の紅蓮の少女に挑む


「、このままでは紅月組はお嬢の代で終わってしまいます!!ですから……枢木組の」

「枢木スザクと契りを結べというの!?気の知れた奴ならまだしも……あんな、性の悪い男だなんて!!寒気がするのよっ」

瞳を固くつむり、脳裏に浮かぶ忌ま忌ましい男を必死に追い出そうとする、飄々として本心を掴ませない。腹の奥底は真っ黒で、あの笑顔を見るだけで悪寒が走る。


「いくら‥組の為だからって!あの男だけは‥‥‥!!!」


彼女の顔が辛辣に歪む。部下達が声をかけようとした時、その場に重厚な声音が響いた

「カレン」

「長!!」
「‥…親父」

何人たりとも寄せ着かせず、逆らわせない威厳を放つ初老の男性は目の前の紅蓮の少女、紅月カレン。第19代目紅月組跡取りを見据える


「カレン。」

「…はい」


立っていたカレンは、直ぐさま座り両手の指先を畳みに付け頭を下げた


「よいか、カレン。これは頼みではない命令だ。枢木組と手を結べば紅月組は安泰なんだ。分かっておるな?」

「……―は、い」


カレン。カレン。カレン。

頭の中に誰かが呼ぶ声が聞こえる。だが、その声もしだいに小さくなってゆき、何時しか声は聞こえなくなってしまった。


小さな希望が光りを失い、大きな絶望が心を支配する

「枢木組の方には既に連絡はとってある。明後日、儀式を取り行う」


「、…………はい」


この絶対的支配からは逆らうる術は無い。組の者として生まれた宿命を怨まずに、何を怨むというのだろうか。
しかし、それさえ許さない、許させないと血が言う



「紅月組、第19代目跡取り。紅月カレン、現頭首の命に従います」

























今日、一人の少女が死にました





08.03.01

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