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□初音ルルにしてあげる!
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 ハジメテノオト





非独立型楽曲支援ボーカロイド・初音ルルが私の名前。


私の記憶の中で一番古いものは優しい女性の声が毎日毎日語りかけてくれていた事。
今日はな、と彼女が聞かせてくれた話しはとても心地よかった。多分…彼女が私の産みの親だろう。


水みたいな液体の中で聴覚と少しの触覚以外は全て機能してなかった為、私にとって彼女だけが唯一の存在だった。
彼女が紡ぐ言葉の一つ一つに思いを馳せては、いつか彼女とちゃんと話せて触れられる日が来るのを心待ちにしていたんだ。




けれど、次に記憶が出来たのは見知らぬ世界と電子が行き交う箱の中。



『(……)』



「あ!初めまして。…初音ルルちゃん?」



彼女では無い、見知らぬ、男。
人懐っこい笑顔に翡翠の瞳を覗かせ、ふわふわと揺れる茶色の髪が印象的だった。



「え、と…今日から僕が君のマスターだよ。」



『……―マスター?』




片言だが言葉を紡ぎ、目の前の彼を見据えれば至極嬉しそうに笑みを浮かべ、感慨深げに何度も頷いてパソコン画面を優しく撫でる。


『(、)』


まるで、触れられ無い自分を撫でる見たいで不思議と胸が跳ねた。




「あ、自己紹介まだだったよね?僕の名前は枢木スザク。マスター、って呼ぶより名前で呼んで欲しいな〜〜」



『(変な、奴。)』



相変わらず幸せそうに笑う彼、マスター基、スザクに自然とこちらも笑みが零れた。





















































「ルル、ルル!」

『…』

「ねぇ、ルル!」

『…』

「ルぅル♪」

『…』

「ル、」

『ルル、ルルと五月蝿い!一度呼べば分かる!!』

「えへへ〜、だって何だか嬉しくてさぁ〜!ルルと本当に一緒にいるんだ!って確かめたくて、ね?」


『―、な…何が、ね?だ!!いい年して可愛い子ぶるな!このっ…馬鹿マスターが!!』

「スザクだって!マスターは嫌なんだってばーー!!」


『うっさい!!』



恥ずかしくて、
名前なんて呼べないんだよ!



08.03.18

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