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□弾丸とライフルは?
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 弾丸とライフルは?




ーピリリリリリリリリリ

何時もと変わらぬ授業時、静寂を破ったのは1つの高音の携帯着信音。

生徒達は辺りを見渡し、口々に誰だよ〜、早くでろよな。等言いながら今だに鳴り続ける携帯音の持ち主を捜す。


「おーい!誰だ〜〜先生怒らないから携帯止…………」



教師と生徒達は言葉を失った。
ゆっくりと音の発信源を辿れば、考え事をしているルルーシュ・ランペルージに行き着いたからだ。元来、彼は真面目では無いが、携帯を放置する者ではない。


「ル、ルルーシュ!!」


前の席のリヴァルは友を揺り動かすが、ルルーシュはぐっすりと夢の中。ああ!もうっ!!とリヴァルは頭を抱えたくなる衝動を抑えながら、この友人とまだ鳴っている携帯を忌ま忌ましく感じた。


「起きてくれよ〜〜!ルルーシュゥ〜〜〜っ」

リヴァルは半分泣きそうな様子でユサユサと揺らし、教師達はあのお決まりのポーズは居眠りの姿なのか!?と驚いた。

けれど、彼等はもっと驚く事に直面するのだ。



「な、なんだ!!?」

「地震っ!?」


突如として校舎を襲う地響きに似た轟音に生徒達は悲鳴を上げて困惑する。しかし、教室が一気に影を差して、そこには見たことも無い真っ白な機体が浮遊し、この教室を見ていた。


「いゃあぁああ!!」

「、何なんだよっ!!?」

教室中から上がる恐怖に震える声と、悲鳴にいち早く反応したのはスザクとカレンだ。窓側にいる彼、ルルーシュに急いで駆け寄ろうとする。が、それは機体から聞こえてきた声音に2人はピタリと体を硬直させた。



『ルルーシュ〜!おきてー!!』


ルルーシュ?

驚愕に眼を見開くクラスメート達は茫然と機体と彼、ルルーシュ・ランペルージを見た。
彼は声を小さく漏らし、背伸びをして混沌としている教室を見渡し不思議そうに小首を傾げ、クラスメート達の視線が自分と、その後方である事に気付き、ゆっくりと後ろを向いて言った。




「あ、キラ」




てんで驚かず、そこにいて当然とするルルーシュにクラスメイト達は動揺を隠せないでいる。
そんな彼に、機体から聞こえてきた「電話したのに、」と言う声音には苦笑が含まれ、まだ幼いと思われるソレに意識を集中せざる得ない。


『ふふ、おはよう。ルルーシュ?よく眠れたかな?』

「いや、…お前の隣に居るときが一番安心するから、……眠い。連れていけ」


スッと椅子から立ち上がり窓を開けて己の右手を差し出せば、機体の手がゆっくりとルルーシュに向かって伸びてきた。


『仰せのままに、我が君』



ルルーシュは満足気に微笑むと、軽やかに機体の手に自分の身を置いた。
さあ、行くぞ。と促すルルーシュに後方から悲痛な叫びが聞こえ、振り返れば幼なじみと紅蓮の騎士がいた。

「−ッルルーシュ!!!」

「どう、言う…!!?」


カレンはスザクとは違った意味で困惑している。己が身を寄せている黒の騎士団で自分と共にゼロの騎士を名乗り、テロ活動を行っている機体と操縦者が何故ここに、それに、この機体の主をルルーシュはキラ≠ニ呼び、キラはルルーシュを我が君≠ニ言った。



「…―ま、まさ…か!?」


ハッと息をのみ、自分の行き着いた結論に驚愕する。
ルルーシュは気付いたか、と呟くとカレンに向かって声を上げた。


「カレン。我が…紅蓮の騎士よ」

「!?」

ビクリと肩を揺らし、揺れに揺れる瞳をひたり。と見据え、威厳のある声音を発する。


「共に、来るかはお前が決めろ。…騙してた、と思われても致し方が無い。けれど…俺はお前達を駒だとかは思った事はない。大切な…仲間だ。
そして、俺が何者であるか分かった今、決定権はカレン。君にある」


カレンの瞳はこれでもか、と言うほどに見開けられたが、直ぐに眼を伏せて意思の強い光を燈した瞳をルルーシュに向けた。


「…私は、一度言った言葉を違える気はありません!貴方様を一生、傍で守り。供に歩む≠ニ!!私を!!もう一度…―紅蓮の騎士としてくれますかッ!!?」


カレンの言葉にルルーシュは嬉しそうに微笑むと、王の絶対的な威厳と有無を言わせない声音でカレンに手を差し延べた。


「、ならばこの手を取れ!
我が紅蓮の騎士、カレン!!」

「はいっ!!!」



嬉々とするカレンに、身内にしか見せない至極の微笑みを見せるルルーシュに誰もが言葉を失う。


『うーん、何だか妬けるなぁ』

「ふん!ゼ…ルルーシュは渡さないんだからね!!」


コックピットから聞こえて来た間の抜けた声にカレンは楽しそうに応え、ルルーシュはクスクスと笑みを零す。
そんな彼等を一人、絶望と驚愕、困惑に染めた瞳で見てるスザクはガクリと膝を着きルルーシュに問い掛けた。


「…るる、ーしゅ…?
君、は……………、」」


「ルルーシュ様の名前を呼ぶな!穢らわしいっ!!!」

「、っ」


カレンの怒号がスザクを打ち、ビクリと肩が跳ねた。ルルーシュはカレンの頭に手を置いて、「有難う。」と優しく言葉をかけ、キラに視線を投げかけた。


『ナナリーはミレイさんと咲世子さんが本部に、向こうの指揮はC.C.とロロが行ってるよ』


そうか。と頷くとルルーシュは縋るスザクに冷酷な瞳を向け、言葉を紡ぐ。



「ここには用は無い。

行くぞ、我が騎士達!」



「「イエス ユアハイネス!!」」




















手駒は全て、揃った

さあ 楽しい時間の始まり!!

08.03.18


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