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□2人の死にたがり
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 2人の死にたがり




「ね、糸色先生は何で自殺未遂ばっかり起こすの?」


「唐突ですね。」


「うん。気になって、」


「…そうですね。色々と理由は有るのはあるんですが、一つに搾れば彼≠ェ原点にいます。」


「彼?」


「彼です。私は生まれてこの方幸せや喜び、心の底から笑えて毎日が充実してる。とかとは無縁で、世の中を悲観し、憐れみ、全然優しくも暖かくも無い腐った世界に絶望してました。……けれど、私は彼≠ノ出会って前者を知ったのです!まぁ、絶望するのは今も変わってませんがね。
何と言いますか…私の世界を180度変えた彼≠ェ私の全てであり、私の行動の源は全て彼≠ノあるんですよ。」


「…」


「うーん、いまいち理解してませんね?」


「えっと、根本的な元。は先生が先程から言ってる彼≠ノあって、先生の中心はいつも彼≠ナある、と?」


「ええ、その通りです。」


「でも、それが何で自殺未遂に繋がるか分からないんだけど、」


「……スザク君は、好きな人っていますか?」


「え、?」


「いますかー。では、その人が自分を全然見てもくれない相手にもしてくれません。はい、君はどう感じます?」


「…、………辛い、なんて言葉では言い表せない、かな」


「苦しくて、悲しくて、…心が引き裂かれそうです。私にとって彼≠ヘ唯一無二の存在であるけれど、彼≠ノとっての私はその他大勢の内の一人なんです。」


「……だから、」


「ええ、……ですから自殺するのです。けれど、本当に死にたい訳ではありません。」


「…」


「私は大変利己的な男です。私が自殺未遂を起こすと必ず、必ず彼≠ヘ私の元に来てくれるのです。酷い、奴だと罵られてもかまいません。この体に刻まれた傷の数だけ私には罪があり、またそれを利用して彼≠フ意識を少しでも自分に向けさせようとしてる馬鹿な男、なんですよ。」


「、先生…」


「しんみりしちゃいましたね。では、今度は私からの質問です」


「ぇ」


「君は、何でいつも自身を犠牲にするんですか?」


「、」


「まあまあ、そんな睨まないで下さい。」


「…意味が、分かりません」


「おや?質問が難しかったですかね〜。スザク君はいつも行動する時に誰を、基準としてますか?」


「、……」


「誰を思い浮かべました?何を感じました??なんで、君はそんなに私を憎悪のこもった瞳で見据えるのですか?」


「っ!?」


「無自覚?まあ、それはしょうが無い事です。君と私は余りにも共通点が多い。似ている様だけれど、全然違います。君のは当てつけがましいんですよ、誰かの為に、誰かの為なら、って他人主義の様に思えますが違います。この前の事を例にしてみますと、幼なじみで親友の彼≠ェ学校派閥の人質になったそうで。その時、君は一人で何十人といる敵の中に向かって行ったそうですね。素晴らしい勇気です。が、何故一人で?警察に連絡は?彼等は彼≠人質にとったが、絶対規則である人質には手出ししない。で一切の手出しはしなかったのに?」


「、……それ、は…」


「一刻も早く彼≠助け出したかったから。ですか?それはそれはカッコイイですね?たった一人、囚われのお姫様を助けに行った王子様!王子様は強い、けれど大切なお姫様を人質に捕られたままでは判断に鈍り王子様はあっという間にボコボコに!ぼやける視界に見ているのは悲痛に歪むお姫様の泣き顔。その時、王子様はこう感じるのです。

ああ、幸せ。だと」


「、」


「だって、そのまま死ねたら、彼≠フ心は君が持って逝けるんですから。」


「…ぁ………」


「私も見返りを求めます。けれど、私と君は死ぬ理由が根本的に違うんですよ。」



「、僕は………俺は!!」



「君と私の共通点、それは、死にたがり。報われ無い想い。彼≠セという事です。」



「………な、に…?」





「私は自分の手で。君は他人の手で。どちらが罪深いんでしょうかね?






どちらを、彼≠ヘ選ぶんでしょうかね?」







































死にたがりの愚かな者を

助けてやって下さい。



08.03.26
‐‐‐‐‐‐‐‐
意味判らなくなった…;
彼≠ニはルルの事です。

スザクは教師にタメ語ー


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