駄文@

□ジャミ監C
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数日後。
バイト終わりに、監督生はモストロラウンジに寄った。
アズールから、シフト変更の知らせを受け、確認するため。
本日モストロラウンジは休業日。
しかし中にはアズールと、イデアの姿が。


「お疲れ様でーす。シフト確認にきましたー。」
「お疲れ様です。こちらになります。」
「はーい。イデア先輩おつかれさまです!」
「監督生氏、乙。今し方アズール氏から聞きましたぞ。スカラビアで働く件について。」
「はい、おかげさまで。」
「ジャミル氏、独占欲強過ぎワロタ。」


もうすっかりイデアとも仲良しな監督生は、唯一イデアにだけ、ジャミルと交際している事を話していた。

   
「僕は一切知りませんでしたよ。監督生さん、ジャミルさんのどこが良かったんですか?馴れ初めなど聞きたいところですね。」
「アズール氏、弱味を握るために血ヘド吐く癖、なおしたほうがいいよ?」
「治りません。」
「強めのお薬出しておきますね。」
「はい。さぁ、監督生さん、聞かせて下さいよ。」


アズールは監督生の前にアイスティーのような飲み物を差し出す。
代価を受け取った監督生は、ただの惚気になりますよと付け加えた。


「あんな事があったのに、どうして彼を選んだのか、気になります。」
「……あんな事があったから、余計ですかね。ジャミル先輩のこと、ほっとけなかったんです。最初は虫でも見るみたいに嫌そうな顔するんすよ。また来たのか、ご苦労なことだな、俺にとり入っても何もないぞ。主にこの言葉であしらわれてました。」
「その中に親密度上がる選択肢があるとは思えないでござる…。」
「はい、しんどかったっす。でもね、しつこさが身を結ぶ瞬間があったんですよ。この詳細については黙秘しますが。」
「まぁ、いいでしょう。見逃します。それが付き合うキッカケに?」
「いえ、仲良くなれたキッカケですね。私、
告る気もなかったし、付き合うつもりなかったんです。友達のままでよかったんです。雑に扱われるだけでよかったんです。それ以上望みませんよ。だって私異世界人ですし。この通りキモオタだし。この世界にいる間は、女になってる暇、なかったはずなんです。」
「それを言うなら、僕は人間じゃありませんね。」
「その程度のキモオタ具合で拙者に勝負を挑むおつもりか?」
「ふふふ、だからこの3人でいるの楽しいんすよ。…まぁ、私だけでなく、ジャミル先輩の事情だってありますし…。」
「…そうですね。」
「…だけど、1番いい感じに仲良くなった時に限って、ちと厄介なユニーク魔法にかかりまして。」
「厄介なユニーク魔法?」
「はい、多分ユニーク魔法です。とんでもない規模の大きな。私とジャミル先輩を異空間に飛ばして、条件を満たさないと出られない部屋に閉じ込められました。」
「ちょま、そ、それって」 
「嘘ですよね?二次創作でしか聞きませんよ?」
「お察しの通り、ナニカをしないと出られない部屋です。」
「ファーーーwww」
「そんなまさか!すごい…、とてつもない魔力の持ち主じゃないですか!」
「はい。まぁ、出られたのはいいけど、時間の経過無視で、私とジャミル先輩とグリム以外の記憶操作ありで。このこと、噂になってたんですよ、恋愛成就の神様って。」
「聞いた覚えありません!無茶苦茶すぎます!」
「うん、チート過ぎるね…。そいつ異世界人では?監督生氏とは違う世界の。この世界とはMPの振り幅が違いすぎ。あっ、もしかして主人公力MAXなラノベの方?」
「私もそう思いました!!」
「そうじゃないと、本当に納得できません!」
「これ、お二人だから言いました。初出しです。まぁ誰も信じないですよね。だから余計言いづらいのもあるんですけど、それがキッカケで、お付き合いすることなりまして。」
「…ほぼ無理矢理じゃないですか。」
「そうなんですよ、何が恋愛成就だよ(強制)付けろって話ですよ。」
「…監督生氏、今しあわせ?」
「…今でも、信じられないです。好きになってもらえるなんて、思ってなかったので。私みたいな底辺が、あのとってもいいニオイのする性悪アジアン美人にですよ、正気を疑うレベルです。」 


イデアとアズールは静かに見守る。
幸せそうに、ひとつひとつ噛み締めるように、言葉を紡ぐ彼女を。


「これは夢だと思っても、これはドッキリだと思っても、現実なんですよね。付き合うことになって、お弁当一緒に食べたりとか、バイト始まる時間までただ一緒にいたりとかしてくれて…、何なんですかね、女の趣味悪すぎですよね。私あの人絶対高レベルの女にしか興味ないと思ってましたよ。…だけど、おかげさまで、その、…とっても幸せです。」
「…なら、よかった。」
「あなたは底辺なんかじゃないです。とても魅力的な女性です。ジャミルさんの女性を見る目は確かです。」  
「ふへへ、ありがとうございます!」


彼女は笑う。とても幸せそうに。
話をしていたらあっという間に時間は夕飯時で、監督生は慌ててグリムがお腹空かせて待ってるのでと、帰宅した。


「さて、イデアさん、そろそろフロイドとジェイドが夕飯を食べに、ここにやってきますよ。」
「うん、帰るよ。なんか、ひとりになりたくない気分だけど。」
「…そうですね、だったら後で差し入れ持って押しかけます。」
「アズール氏、すき!抱いて!」
「だが断る。」



その夜、クソイモジャージでイデアの部屋を訪れたアズールが、モストロラウンジから持ち出した酒に酔って酔い潰れ、なんで僕じゃないんだと、ほっとけないのが僕なら良かったのにと大号泣し、翌日イデアにその動画を見せられ、イグニハイド寮寮長殺害未遂事件を巻き起こすところを、オルトに秒で眠らされたのは、ここだけのお話という事で。





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