駄文@

□ジャミ監E
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何の気無しの会話だった。
そこからザクザクと、いつしか監督生は自分が入る為の墓穴を掘っていたのだ。
ベッドに並ぶ、監督生のコレクション。合わせて7セット。
そう、確か君は何か趣味はあるのかと、聞かれたのが始まりか。
そりゃ趣味くらいはある。身体を動かす事が好きでランニングを欠かさないとか、可愛いモノを集めるのが好きとか。
可愛いモノは具体的にどんなモノを指すのかと尋ねられ、監督生は嬉しくなってしまったのだ。期待も抱いてしまったのだ。ワンチャンあるかと。思ってしまったのが墓穴のはじまり。
可愛い下着を集めるのは趣味ですね。と。
ほら見てくださいよ、可愛いでしょ!と。
見せてしまってから、やらかしたと後悔に襲われた。

監督生は普段の下着を控えめに抑えていた事を、すっかり忘れていた。
ジャミルに見られる可能性がある時のテーマは清楚で可憐と決めていた。淡いピンクだとか白、水色、淡いグリーン、水玉、ストライプなど。
しかし、今お見せしている監督生ランジェリーコレクションの一軍達は違う。
テーマはまさにエロスとセクシーだった。
監督生の好みの問題で、ソングタイプが充実している。
各寮をテーマカラーにしたのかと思わずにいられない色合いの一軍たち。尚各セットにガーターとベビードールが付属している。モノによってはカフスや太腿ガーターリングなども。勿論監督生はセットだからこそ購入している。
いくら監督生には可愛らしく映っても、男子の目線は違う。しかも相手は男子校生。刺激が強すぎた。彼の目の色が変わった。

「…普段のよりも、俺はこちらの方が好みだな。」

特にコレがいいと、彼は指差す。
可愛さだけで買った、機能性をガン無視したレースとフリルの紐で結ぶだけのスカラビアカラーのブラとソング。
これはベビードールが可愛くて購入したら、オマケのようについてきたやつ。
監督生はぎこちない笑みを浮かべる。
本音をようやく飲み込んで。
わかってる、今ではない。
シラフではまず難しい。
酔っててもあやしい。
いやこの男はわからん。読めない。
でもさすがに、今じゃないという事だけはわかる。
ただ、とても残念そうなバカデカいため息は出た。

「…着て、くれないのか…?」

ジャミルは切なそうに残念そうに俯く。
そう言えば、監督生は逆らえない。策士に抜かりはない。

「…お風呂入ってきまーす。」

監督生は立ち上がり、下着を片し、ジャミルが選んだモノだけ残した。

「…今回だけ、ですからね?」
「それは残念だ。」
「毎回開催してたまるか。」

見つかったらこうなる事はわかっていたのに、何故はしゃいでしまったのか。悔やんでも後の祭り。
ジャミルがドエロい下着が好きな事はわかっていた。
ジャミルが選んだスカラビアカラーの下着も、引けを取らないスケスケ具合だ。
認めよう、エロ下着と何ら変わらない。
こうなったら腹をくくるしかない。

お風呂から部屋へ戻った監督生は、いつもの寝巻き用のTシャツにハーフパンツ姿だった。
ジャミルはベッドに寝そべっていたが、監督生を見てすぐに起き上がり、監督生を手招いた。
大人しくジャミルの正面に立つ監督生。
ジャミルは何も言わず、Tシャツを剥いだ。
ご期待通りに中にちゃんとご要望の下着をつけてくれている。ハーフパンツも脱がせてしまう。まじまじと視線を上下させる。

「…エロいな。」
「エロくないです…。」
「いや、エロい。」
「ジャミル先輩見過ぎっす!」
「見るためのものだろう?」

それで彼女が恥じらうからこそ、余計いい。
彼女の手を引いてベッドへ追い詰めて、見下げるこの瞬間が彼は好きだった。彼女の視界は彼だけになるから。
特に焦る事もなく、彼女の横に寝そべり、彼女の首の下に腕を入れて抱きしめる。
彼女も抱きしめ返す。身体が密着する。彼女の下腹部に彼の硬くなったモノが当たる。
気にせず彼は彼女を強く抱きしめる。彼女は苦しいほど強く抱きしめられるのが好きだった。彼の独占欲をより一層感じるから。
腕を緩めて、片手を頭の後ろに固定して、口付ける。キスをしながら耳を撫でる。片手はベビードールの生地を確かめるようにサラサラと撫でる。彼女はどこか上の空だ。

「…その気にならないか?」
「…違うんです。セックスはしたいです。」 
「何が気に食わない?」
「…素直に言っても、いいですか?」
「そうしてくれ。」

監督生がこの下着をコレクションしてきた真の理由。
それは、ジャミルが身に付けたら最高に似合うと思って買ったものばかりだという事。
一軍はあくまで鑑賞、そして妄想用なのだ。
この流れは、監督生が一軍下着を着てのプレイだと言う事はよくわかってる。
ジャミルはもう期待の眼差しで監督生を見つめていた。着てくれると信じて疑わない。だから着たけども。

違う。
自分が着けるのは、何というか、そう。
解釈違いなんです。
これは、あなたのためのコレクション。
ほら、もしかしたら錬金術の授業で失敗して、女体化しちゃう可能性があったりするかもしれないじゃないですか。
この世界だからこそ、そんな素敵な事もあるかもしれないじゃないですか。
私はその日を、今か今かと待っていただけなんですよ。
これに関しては誰が女体化しても大丈夫なように、各寮をイメージしたカラーを取り揃えているんですけどね。
ほら、女の子同士だから何も恥ずかしい事はないじゃないですか。
いや、今着てくれるのなら、そりゃ着て欲しいですよ。
当たり前じゃないすか。
絶ッッ対に似合う。
絶対に絶対にその引き締まったおしりにソングが似合い過ぎる事は間違いないのだから!

とまでは言えないので、粗方省略して

「これは、ジャミル先輩に似合うだろうなって思って買ったもの、なんです。」

ジャミルには彼女の言葉が理解出来ない。
諦めきれない監督生はベビードールを脱いで、彼にそっと当てがう。

ほら、やっぱり似合う。
エロい人にエロいものが、似合わないわけがない。
やっぱりお色は黒か赤が似合う。白もいい。
ちゃんと鍛えられた男の人の身体なのに、むしろそれが違和感にならずに、ちゃんとセクシーに感じるのは何故かしら。(答 性癖)
最高でしかない。拝んでおこうね…。

「拝むな、やめろ。」
「絶対に似合います!」
「クソッ、開けてはならないパンドラの箱だったか…!」
 
無視してヤッとけば良かったと、こんなに後悔したことはなかった。

「私は着ました。だから、ジャミル先輩も是非お願いします!あっ、だったら、まだジャミル先輩に似合うヤツ隠してたんすよ!」 

いつになくテンションブチ上がりの彼女は、引き出しから、初見の下着セットを出してきた。まだ包装されたままの新品だ。一体あとどのくらいの隠しランジェリーが眠っているのだろうか。
包装を剥ぐと、中から黒と赤のスケスケ下着セットが現れた。

「…この下着は、あなたのためのモノなんです…、私が着るのは違う!あなたに似合うものなんです…!」
「…ユウ。」
「…着て、くれませんか…?」
「……わかった、もう、好きにしろ…。」

先程とはまるっきり逆だ。
興奮する彼女と冷めた彼。
先程の自分はこうだったのだろうか、先程の彼女はこんな気持ちだったのだろうか。
彼女はウキウキと下着を彼に着せていく。
こんなに上機嫌な彼女はなかなか珍しかった。こんな状況でなければ、微笑ましかったのに。

「…怒ってます?」
「…いや…、…呆れているな…。」
「ですよね、わかります。」
「…君の気持ちも充分にわかるのが悔しい。」
「ですよね、最高です。」
「…どこに魅力を感じるのかは、微塵もわからないがな…。」
「ぜんぶ、エッチでステキです…。」
「…本当にこれはこれっきりだな。」
「そう言わずまた着てくださいよ。」
「毎回開催してたまるか。」

下着をきちんと着せて、改めて彼を見つめる。

ほらやっぱり最高に似合う〜〜。
引き締まったおしりにソング超似合う〜〜。
網タイツ常備しておけば良かった〜〜!
はぁ…、最高にエロ可愛い…。
何だこのエロさは…。
想像以上じゃないか…。
もうこんなの熱砂の国の奇跡じゃん。
熱砂の国なら、お顔を隠すアレとか…、アレもいいんじゃない…?
改良の余地ありすぎだな!たまらん!

「…ありがとうございますっ…!最高の最高にエロ可愛いですっ!」

勢いよく彼女は抱きついて彼を押し倒す。
恥ずかしそうに困惑する彼が新鮮で、興奮のままに彼女から唇にキスをした。
しかしエロい格好をしているのは、彼女とて同じ事。
エロい下着で積極的に攻められるのも、まぁ悪くないかと彼も満更でもない。
だが攻められっぱなしでは釈然としない。
彼女の口内に舌を、下着に手を、突っ込む。
ぐちゃぐちゃに濡れたソコが興奮を物語り、何とも形容し難い心境になってしまう。
その気にならないかと聞いた自分に、なかなか複雑だぞと教えてやりたい。
彼女も彼の下半身へ手を伸ばす。
すっかり萎えていても、ただでさえ生地面積の少ない下着では収まらない彼の彼を、優しく撫でる。

「…元気にしてどうするんだ?」
「…入れちゃいます。」

その言葉に反応してしまうのは悔しかったが、彼女がそういう行為に積極的な姿も、なかなかお目にかかれない。
素直にむくむくと形を変えていってしまう息子が情けない。
それをしかと見届けた彼女は彼の上に跨がる。

「…下着が…汚れてしまうぞ…?」
「っ…そんな、エロ過ぎて、どうでも、いい、です…。」
「…むしろ、君がエロ過ぎる…。エロい下着姿で跨って、人のチンポでオナニーして…。」
「ん、ジャミル先輩が、えっちなのが、いけないと、おもい、ます…っ」
「…そうだな、エッチなのはいけないな。」

そう言って、ブラからチラリと乳首を出してみる。
その仕草がもう監督生にはとてつもなくエロく映る。

「ふぉぁ」
「興奮し過ぎだ…。」
「エッチ…、えっち過ぎる…。もう、入れたい…。」

積極的な彼女を、素直に喜べないのは何故だろうか。
だけど、まぁ今は、対面座位を楽しむ事に切り替えた方が良さそうだ。

「…入れてくれ。」
「はぅ」
「ほら、早く。」
「あぁぁ」
「入れたいんだろ?」
「あ、あ、はいっちゃう…。」
「…っ、」
「あ、あぁっ」

何を言っても性的過ぎる言葉が、彼女をさらに追い詰めていた。
膝立ちのまま半分以上を飲み込んで、彼女は止まってしまう。
中がヒクヒクと痙攣している。

「…まだ、全部、入ってない、ぞ…」
「ぜんぶ、だめ、だめ、これ、だめ…っ」
「…そんな事、言わないで、くれ…。」
「〜〜っ!」
「っ、ハァ、あぁ、ヤバイな…、さっきから、ずっと、ヒクヒク締め付けて…っ」
「っ、あ、らめ、これ、っ」
「…く、…っ、はぁっ、ほら、ちゃんと、全部、っ、」

彼女の身体がガクガクと震えるだけじゃなく、ちゃんと彼を飲み込んでしまおうと、さらにまだ快感を求めるように腰が動く。
これはこれで彼をたまらなくさせるが、彼女は視界に映るセクシーの化身に我を失っている。

「あぁっ、ぜんぶ、はいっちゃう、だめ、これ、すごいの、だめ…っ」

だめだと言うのに腰は動く。貪欲に前後に押し当てるように。彼の両手が彼女の腰を掴み、下から突き上げる。

「〜〜〜っっ♡」

上半身を起こして、片方は腰を抱いて、片方は彼女の後頭部を掴んで、キスをする。

「っ♡ン♡っ、〜〜〜♡♡♡」

幸せそうにずっとイきっぱなしの彼女を見て、彼は、本当にたまにならこんなプレイも悪くないかもしれないと思ってしまった。
しかし、監督生が調子に乗るので言わないでおいた。
翌日、監督生は恥ずかしさのあまり布団の中からなかなか出てこなかった。
せめてアルコールが入っていたら、全て綺麗に忘れられたのに。
せめて魔法が使えたら、この記憶だけを抹消出来たのに。
ただ今は、自ら掘った墓に埋まっていたかった。
しかし、彼女は諦め悪く後にこう言うのだ。

「…逆バニーも着ていただきたいのですけど、これは流石に下着じゃないですよね…。」





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