駄文@

□ジャミ監G
1ページ/4ページ



浴室から出て、日付が丁度を12日になったのを脱衣所で着替えながら確認した時、ジャミルのスマホが鳴った。
スカラビアの空き部屋で待機しているはずの、監督生からだった。
何事かと開けば、そこには
お誕生日おめでとうございます。
というメッセージが。
時間ピッタリのメッセージに、思わず緩む口元を自覚しながら、すぐ続けて届いたメッセージに、彼の目は釘付けになる。

こちら、ジャミル先輩が、欲しがっていたプレゼントのつもりです。
ご希望に添えていれば幸いです。

一緒に動画が添付されていた。

監督生から前もって、誕生日に何か欲しいものはないかと、聞かれていた。
ジャミルは、とんでもないプレゼントを望んでいた。よく覚えていた。本気で言ったわけじゃなく、出来るものならやってみろ、という意地悪だけが含まれたものだったが。
それを、彼女は叶えてくれたとでも言うのだろうか。
着替えを済ませ、動画を再生すると、見慣れた彼の服を着て、ベッドに座る彼女が映し出される。
どこかにスマホを置いて撮影しているようだ。
彼の手は期待で震えた。
画面の中で彼女はポツポツと呟く。
聞き取りづらかったし、ここでこのまま見ていい内容ではない事を確信して、自室に戻り、同室者の不在に心から感謝し、鍵をかけて、改めてイヤホンを装着した。
耳元でリアルな彼女の小さな囁き声が聞こえてきた。
恐らくゴーストに配慮しての事だろうが、油断していた。早速鼓膜がやられた。

『…お誕生日、おめでとうございます…。…えっと、全然、プレゼントにならないと、思うんですけど…。』

居心地悪そうに恥ずかしそうな彼女を、見ているだけでゾクゾクと下半身に熱が集まっていく。

『…もう、コレが最初で、最後ですからね…。』

彼が彼女にリクエストした内容。それは 
君が俺の事を思いながら一人でするところが見たい。
出来たら動画に収めたい。
繰り返し何度も見られるように。
それが一番嬉しいプレゼントだ。
確かにそう言ってしまったのだ。
彼女は真っ赤になって、バカじゃないですかと、そんなのAVじゃないですかと、絶対に無理ですと、言っていたのに。
動画の彼女はまるで、定点カメラで撮影されたオナニーAVそのものだった。
もうすっかりそういう時のスイッチが入ったような瞳で、こちらを見ている。 

『…ジャミル先輩の服を着てると、ジャミル先輩がそばにいるみたいで…』

彼はぎゅっと、胸を掴む。
その服は部活の時に着ていて、そのままオンボロ寮へ行って、制服に着替えて帰ったから忘れたものだ。
いつ頃に忘れたのかも覚えているから、この動画がいつ撮られたのかも大体把握出来た。
ちゃんと洗濯しましたからと、一言添えて返却してきた日の事も、明確に思い出せる程度には最近だ。
問題はその服が洗濯前なのか、後なのかだ。
部活で一頻り汗をかいた覚えがある。
彼女は動画の中でソレを着ている。
洗濯しているのなら何の問題もない。
しかし洗濯していなかったとしたら。
彼女はソレの匂いに包まれている事になる。
彼の顔はブワッと熱くなる。
彼女に嗅がれるなら、必ず良い匂いを纏っていなければならないというのに

『…わすれものに、感謝します…』 

それなのに彼女は、絶対男臭い事間違いなしの、その服の匂いに包まれてウットリとした顔で微笑む。
オナニーするなら洗うわけがない。その匂いも込みでオカズになるのだから。頭ではわかる。しかし処理は追い付かない。
その匂いすら愛しいと、直接言葉にされなくても恥ずかしい程に伝わってくる。

『……確か、前したときは、途中までだったから……、10日くらい、かな…?』

彼は、2週間だと即座に心の中で訂正する。
行為に挿入が加わるならば、3週間はしていない事も付け足しておこう。

『……さわって、ほしいです…。』 

ゴクリと勝手に喉が上下する。

『…ジャミル、せんぱいの、さわりかた…』

彼の触れ方を思い出すように目を閉じて、彼女の指がそっと動く。
定点カメラは厄介だ。動きがない。
拡大は出来るが、角度によって見たいところが見えない。
自撮りを薦めるべきだったと後悔しても、もう遅い。

『…ここ、と…』

彼女は服の上から、乳首をカリカリと撫でる。

『…ここ…』

片膝を立てて、下着の上からクリトリスをスリスリとなぞる。

『…いっしょにさわるの、すき…』 

今すぐ触りに行きたい衝動に耐える。
動画はまだ始まったばかりだ。

『…ん、やっぱり、ちが…、あ…』

手は服の中へ入り、乳首に直接触れていく。
片方の手も下着の中へ潜る。
それぞれが布越しに行われている為、どんな触り方をしてるかは確認出来ない。
しかし、彼女の手の動きで何となく、どう触っているのかはわかった。

『はぁ…、はぁ…、ん、はぁ…』

彼女の吐息が甘さを増していく。
彼が彼女に触れる時と比べて、声はそれ程出ておらず、ただ甘い吐息を繰り返す。たまにいらやしい水音を拾う。指は少しずつ激しくなっていく。
すぐ彼女のいる空き部屋に行くつもりだった彼は、立ちつくしたままだった。この動画を見届けてから行こうと、ベッドの端に改めて座った。動画はまだ終わらない。
彼女は下着を少しズラす。やはりアングルはよろしくない。肝心な部分が下着で隠れて見えない。
だけど彼女の指が、中に入っていくのはわかる。指を出し入れしているのはわかる。肝心の出し入れするところは、拡大しても見えない。しかし、このもどかしさは悪くない。余計に興奮が煽られる。
彼女の吐息の中に甘い声が混じり出す。
上擦った甘い声が彼の名前を呼ぶ。

『…ジャミル、先輩…っ、じゃみる、先、輩っ…、はぁっ、じゃみる、せんぱ、っ、んっ…、おく、届かな…っ、んっ…』

出し入れする指が早くなる。奥に行きたい指はいいところには触れられない。彼が教えた
いいところは、彼にしか触れられない。

『はぁっ、んっ、ん、はぁ、』

クリトリスを擦る指先の動きが変わる。擦るというより拳が覆う形になる。ちゃんと見えなくても、膨らんだソレを親指と人差し指で摘んで、優しく押し潰しているのだとわかる。それも彼の触り方だ。そうすれば

『あ、あ、あ…っ、イッ…っ、んんぅっっ!』

彼女がイッてしまう事も知っている。
出し入れしていた指をぐっと奥へ潜らせた瞬間、弾けたように身体全体をびくびくと震わせて、彼の思った通りに彼女は達した。
はぁ、はぁ、と息を荒げて、くたりと身体を背もたれ代わりの枕に預けて、余韻に浸りながら、濡れてどろどろの指をちゅぱ、と唇に含む。リップ音が生々しく耳を犯す。
そのまま気怠そうにこちらへ向かってくる。
彼女はまるで、挑発するように指を口に含んだまま、おしまい、それだけ告げて動画は終了した。
ジャミルは動画をしっかりと保存して、フゥーッ…、と深くクソでかい溜息をついて項垂れた。
彼女は何故、嫌がっていた事なのに全力で応えてくれるのだろうか。
調子に乗ってしまいそうになる。何をしても許されると思ってしまう。
それに、これは挑発されているようにも受け取れた。いや、されている。ならば、挑発には挑発で答えてやろう。
彼は、スマホを操作してベッドの上に放り投げた。
そして、その上に覆いかぶさるようにして、パンツをズラした。



一方その頃、監督生はスカラビアの空き部屋で彼が来るのを待っていた。
早く会いたい気持ちと、逃げ出してしまいたい気持ちを半々に、布団に包まっていた。
その時、監督生のスマホが鳴る。
飛び起きて画面を見ると、このタイミングでジャミルからの着信。
出ないわけにもいかず、恐る恐る通話ボタンを押すと、まるで彼女に覆いかぶさるようなアングルで映る、彼の顔が現れた。

『…誕生日プレゼント、ありがとう。』

掠れた囁き声に、早速鼓膜がやられた。

『…リクエストに応えてくれるとは思っていなかったから…、驚いた。色々と言いたい事はあるが…、とりあえず……』

ゴソゴソと雑音を拾いながら、画面が下りていくと、ずり下がったパンツから勃起したモノが出ていた。

『…一度出さないと治まらないくらいには、興奮した…。』

ヒエ、と彼女の喉から引きつった声が出た。
彼はそのままそれを扱く。
手のひらで亀頭を包みながら、片手で上下に扱いていく。

『っ、ん、ユウ…』

息を荒げて、切なそうに彼女の名前を呼ぶ。

『ユウ…、っ、はぁっ、ユウ…っ』

切羽詰まったジャミルの声に、彼女はドキドキと煩い心臓を押さえる。
局部しか映ってないので、彼の顔が見えない。
どんな顔をして彼女の名を呼ぶのか、局部よりも、彼の顔が見たかった。
しかしその局部を見てこそ、彼女の身体が切なくなる事実はどうしようもない。
彼女の奥はソレで満たされるのを待ち焦がれている。お腹の奥がじんじんと熱くなる。
切なげな声は更に煽るように、彼女の身体を蕩かせていく。
扱く手の動きが早まる。手のひらの隙間から先走りが溢れて、ぽたりと画面に落ちる。
ぐちゃぐちゃと湿った水音と彼の荒い呼吸と、たまに囁かれる名前。その囁きの中に、早く入れたいと、奥まで突っ込んでぐちゃぐちゃにしたいと、欲望が混ざる。それが彼女をどうしようもないくらいに切ない気持ちにさせる。彼女の心臓は痛いくらいに早くなる。視界と聴覚の刺激が強すぎてこのままでは気絶してしまう、そう思った時

『は、あ、っう…っ!』

彼の声が吐息が詰まると、彼の手のひらが白い液体で汚れていく。
画面から離れ、ティッシュを取る音の後、彼の顔が映る。
少し照れくさそうな彼の目にはまだ、消えない情欲の炎が灯ってる。

『…今ブチ犯しに行くから覚悟しろ。』

通話はそれで終了した。
彼女は一言も何も発せなかった。
静まり返るスカラビアの空き部屋。
彼女の顔は真っ赤だった。
まだ鼓動は痛いくらいに早い。
彼に会いたい気持ちよりも、逃げてしまいたい気持ちが上回ってきた。
とんでもない事になってしまったような気がする。
とんでもない事をしてしまったような気がする。
しかし彼は待たない。
ドアをノックする音。
ゆっくりと、ドアが開く。
部屋の中に入って、ドアを閉めて、魔法を使って厳重に鍵をかけた彼を、ただ見つめる。
彼は何も言わず、彼女へ近寄る。
逃げたいけれど、逃げるつもりはないし、逃げ場もない。なのに、思わず彼女は後ずさる。
彼の顔に余裕というものが一切ない。
彼女には怒ってるようにも見えた。
ジャミルは彼女を壁へ追い詰めて、キスをした。
いつになく甘い彼の舌に、彼女は答えるように抱きついた。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ