Shamballa
□Pin Wish On A Distant Sky
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「確かここらへんのはずなんだけどなぁ……」
エドは地図を片手に同じ場所を行ったり来たりウロウロした。
今エドは、ロケット開発の研究をしている人物から紹介された研究所に向かっている。聞く所によれば、同い年くらいの少年達が集まり研究をしているらしい。
その研究所の中心人物とは前々から連絡をとってある。場所を指定してきて『迎えに行きますので』と言われたのだが、その場所には特に誰も居ない。
「……場所、間違えたか……?」
何だかんだ言ってこの世界に着てからまだ一年と経っていない。ところどころ、元の世界と似ている箇所はあれど、エドにとってミュンヘンは未知の世界なのだ。地図を広げて何度も何度も確認してみる。
「こう来て、こう来たんだから……あってる……んだよな………」
いまいち自信がない。だが、ここ以外考えられない。
早く着てくれないかと願うエドに、声が聞こえてきた。
「すいません、遅くなってしまって!」
遠くから荒い息と一緒に聞こえてくる。走ってきたようだ。エドはホッと安心して声の主の方を見た。
「良かった、道間違えたのかと思―」
途中まで話した言葉は途中で途切れた。開けた口を戻す事さえ忘れ、ただただ目を見開く。
そんな様子には気付かず、その人はエドの近くまで行って呼吸を整えると、笑顔でエドに話し掛けた。
「貴方がエドワード・エルリックさんですか? 初めまして。僕は、」
神が仕掛けた悪戯なのか、それとも奇怪な偶然なのか―。
「アルフォンス・ハイデリヒといいます」
「……アル……?」
運命の歯車は、回り始めた。
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