NoveL

□Shield
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シールド越しにあなたを見る。





『お前のコードネームは…』


その長い指で己を指された時、すでに射抜かれていたのかもしれない

『…アイシールド21!!』


そう。あの時のあなたは…






『すごく、嬉しそうでしたよね』

『……あ"ぁ?なンだァ?急に』

なんの脈絡もない突然の瀬那の発言に、先程まで忙しなく叩いていたキーボードの手を止め、チラリ、と視線を向けるヒル魔。


当の発言者本人はというと、
部室の中のあるパイプイスに逆向きに、背もたれに両腕とその上に顎を乗せたまま
『いえ別に?独り言です。』
とそっけない返事を返す。

目線は只ぼーっと、ヒル魔の叩くキーボードに向けられている。


幾分不満そうな顔をみせるヒル魔だったが、まぁイイかと再び視線をキーボードにうつし先程の作業の続きに戻った。

瀬那の角度からははっきりとは見えないが、彼の作業するパソコン画面には何やら意味の分からない英字や、羅列がバラバラの数字がまるで暗号のようにつらづらと流れ続けている。

きっと彼にはその"暗号"の意味が分かるのだろうが…


『…ホント、何書いてあるのか分かんない…え〜…でぃすいずあぺん?』
 
『…ιてめぇのが意味わかんねぇよ糞チビ』

英語をはじめ、得意科目は?と聞かれても『無い!』と断言できる瀬那にとってのソレは本当に意味不明のもので、言うなれば只の"英語の映像"でしかなかった。

はぁ…ι。
と奇才ヒル魔の飽きれ半分のため息が、静かな部室内に響く。

他の部員は部活が終わったら各々でさっさと帰っていったので、今部室内にはもくもくとパソコンにデータを打っている(のかハッキングでもしてるのか分からないが)ヒル魔と、それをふてくされているような顔で見続けている瀬那の二人しかいない。





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