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□どうして。
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履歴を開いてすぐに、発信ボタンを親指がためらいもなく選択する。
耳たぶにひんやりとした冷たさを覚えながら耳を澄ませば、不気味な沈黙の後に、もう、ここのところすっかり聞きあきてしまった音楽が鼓膜を震わせる。
君の、暖かい声が聴きたいのに。
警戒する彼女の携帯から強引にアドレスを奪って、あれから三日。
連日のように鳴らすけど、出てくれない。まだ警戒しているのだろうか?
まぁ、それは無理もないことだろう。なにせ彼女を見たとたん恋に落ちてしまったもので、