Y

□抱きしめ方
1ページ/2ページ



ひとつめ。


「ちょっ…一護。降ろせ、降ろさぬか!」
バタバタと足をばたつかせている。
「やだよ。誰が降ろすか。スカートでそんなにばたつかせてると中見えるぞ」
パタリと動きが止まったかと思えば背中をばしばし叩かれる。
「いてえ」
「ならば今すぐ、直ちに私を降ろせ」
「しゃーねーな」





ふたつめ。


ゆっくりとルキアを腕に抱いて今度は小脇に抱える。
「貴様、いったい何をしておる」
左腕にルキアの全体重がかかっているというのに、苦ではない。
「ん?なんだと思う」
「わからぬから聞いている」
「じゃ、気にすんな」
腕に爪を立てはじめた。
地味に痛い。





みっつめ。


ベッドにルキアを降ろして、後ろから抱きしめる。
小さな身体が俺の中におさまる。
「まったく、なんなのだ」
頬を膨らませて怒っているみたいだ。
「いや?」
「嫌というわけではない。だが、わけがわからなくて…不安だ」
膝をたてて、膝頭に顔を埋めた。





よっつめ。


くるりとルキアを反転させて、顔をあわせる。
「悪い。ただ、どれが一番いいかなと」
「一番いい?」
ぎゅうとルキアを抱きしめて、やわらかな身体を味わう。
「ルキアを抱きしめるならどれがいいかなって。試してた」
「莫迦者…。私はこれがいい」
「俺も」

ふんわりと微笑んだルキアに頬を寄せて、背中に回した腕に力をこめる。


ルキアを抱きしめるのはお互いに顔をみることができて、ぴとりくっつきあえるこれがいい。


(終)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ