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□しあわせな夢の…
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「おはよう、ルキア」

「おはよう。もうすぐ出来上がるぞ」


カタンっと定位置に座って四つ折りにされた新聞を広げる。

目を通すふりをして、新聞越しにルキアをのぞくと鼻唄交じりで料理中。

白いフリルのたくさんついたエプロンがひどく似合っている。

まあ、ルキアは何着ても似合うんだけど。

着てなくても可愛い。

昨夜のルキアもすげー可愛かった。

思いだしたら抱きたくなる。

無理やり桃色の思考を頭の隅に追いやる。

そうしないと、ルキアが怒るから。

いまだに昼間求めるとやだやだって言うんだもんなあ。

嫌がるルキアをいじめるのも楽しいけどやっぱり甘えるようにねだられる方がいい。

うん、だから夜の楽しみにしておく。

せっかく誰にも邪魔されない二人だけの生活になったんだから。

左の薬指にはまっているルキアと揃いの指環。

くすぐったくて、むずがゆい。


「何をにやにやしておるのだ?」

「んー、しあわせだなあって」

「あたりまえではないか。この私が貴様と結婚したのだから」

「おまえは?」


俺と結婚してしあわせか?と問うと一気に花開いた。


「しあわせだぞ。…早く食べねば冷めてしまう」


照れて話をずらそうとするルキアが可愛くて、腕を掴んで引き寄せる。

キスしたい。

細い肩に腕を回して顔を近づける。

ゆっくりと瞳を閉じたルキア。

吐息がかかるほど近づいて、俺も瞳を閉じる。

あとはやわらかな唇と触れあうだけ。

離したあとに、恥ずかしそうに笑うルキアが好きだ。

瞳があうと真っ赤になるのはずっとずっと変わっていないから。


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