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□安眠のため
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「私は眠いのだが、一護」
「んー」
寝ていいぞと教えるのに、腕をあげてルキアの頭を数度撫でる。
ちゃんと、連れて帰るから。
起こさないように静かに、けれど急いで。
だから、ここで寝ろと伝える。
「貴様はわかっておらぬ」
声でわかる。
今、頬を膨らませて拗ねた。
そばから離れる意思はないようで、はりついたまま。
「ルキア、帰るか」
身体をねじって、ルキアの方を見れば顔を背けられる。
「いやだ、帰らぬ。ひとりで帰れ」
帰ろうと言ったり、帰らないと言ったり。
「わかった。帰ることにする」
ルキアを背にはりつけたまま立ち上がる。
歩き出せば振り落とされないようにとルキアがバランスをとる。
「ちゃんと、つかまってねえと落ちんぞ」
「私は帰らぬと言ったではないか」
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