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□可愛い彼
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一限の授業は越智先生の国語。
けれど、「よーし、おまえら高校生らしく雪合戦だ!」と先陣を切って教室を飛び出して、そういうのが大好きな級友たちもあとを追った。
校庭ではじまった雪合戦は敵味方なく投げられ、今は男子たちがびしょ濡れになりながらも続けている。
女子の中でも有沢は男子に交じってまだ戦っているが。
いつのまにか他クラスも交ざり、授業をしているところは少ないだろう。
一護も石田も最初はやる気なんてまったくなかったのに浅野や小島、茶渡に雪玉を投げつけられ顔面に命中したことが火種となり、雪のぶつけあいをはじめていた。
皆、浅野に対して投げる雪玉だけ全力投球なのはなぜだろうか。
逃げおおせている浅野はすごいな。
「ルキアー」
手を振って近づく一護に手を振り返す。
一護の隣にいる石田も井上に小さく手を振っていた。
「石田くーん」
井上はぶんぶんと石田に手を振っている。
走ってきた彼らはやはりびしょ濡れ。
一護の髪は風呂上りのようにぺたんと寝ていた。
ほら、可愛い。
「着替えぬと風邪を引くぞ」
「そうだね、風邪引いちゃったら大変」
こちらに伸びてきた手を不思議に思っているとひたりと首に触れられた。
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