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□わがままな人
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一護が退院したのは昨日の夕方のこと。

主治医の石田に見送られながら、病院から徒歩五分の我が家へと帰ってきた。

安静にと何度も担当看護師に言われたので今日も一護はベッドにいる。

暇を持て余しているせいか、寝室から離れるとすぐに名を呼ばれる。

返事をしても姿が確認できるまで呼び続ける。


「何用だ。さっきから呼びつけおって」

「ルキア、こっち」


手招きされて、寝台の主に近寄れば座らせられる。


「抱きつくな。私は貴様のように暇ではないのだ!邪魔をするな」

「やだ。構って」


指を絡められる。


「昨日さんざん付きあったではないか!」


そう昨日の夜はわがまま全部を聞いたのだ。

だから今日は自粛しろっと目で訴えてみたが効果はない。


「あれぐらいじゃ、足りない。ぜんぜん足りない」

「一護。今、こうして構うのと夕飯によく煮込んだ味がしっかり染みた鍋料理とどちらを選ぶのだ?早くせぬと焦げる」

「決まってんだろ、両方」

「ふざけるな。貴様!」

「ほら、焦げんだろ。行くぞ」


軽々と抱えられて部屋をでる。


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