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□Heal
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目を覚ますと彼女がまだ腕の中にいた。

くぅくぅと深く眠っているようで目覚める気配はない。

無防備な寝顔がすぐそこにある。

いつもなら俺が目覚める頃には起きて朝食の準備をしているか、ベッドの中で俺が起きるのを待っているかだ。

どちらにしても俺より先に起きている。

なのに寝ているということは疲れているのだ。

本格的に家の家事をすべて担い、医院の仕事もはじめた。

律儀なやつだから、本業の死神の仕事だけでなく、家のこともやりたいといって。

おそらく、ひとりだけでいるのが嫌なんだと思う。

遊子と夏梨は学校で、俺も大学だし。

親父は医院で仕事をしているのに自分だけというのがルキアの性格からいって、何かしたいになる。

二週間経って疲れが一気に押しよせたのだ。

昨夜は話の途中で寝てしまったから。

つやつやの髪を撫でる。

こうやって目が覚めるまで撫でるのも、いいな。

ふんわりと笑ったような寝顔に幸福を感じる。


「…んんっ。あっ…仕度」


ぱちりと目を開けたルキアが慌てたように起き上がる。


「ルキア、おはよ」

「すまぬ、寝坊した。今すぐ…」


ぐいっと引っぱってもう一度ベッドに寝かせる。


「今日、休み。遊子が飯つくってるだろ」


しばらく前から階下で音が聞こえている。

久しぶりの遊子特製になるから力が入っているんだろう。


「そう…だったか?」

「もうちょい寝てよ」


背に回した手でとんとんとリズムをとれば目を閉じたルキアが眠りに落ちる。

一分と経たないうちに寝息が聞こえはじまった。


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