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□やくそくだよ
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二人並んで歩くのはもう日常のこと。
学校から黒崎家まで、他愛のない話をして歩く。
それが私には実に心地良い。
隣の一護の存在があたたかい。
「…だろ?」
ぼんやりとしていたせいか一護の話を聞いていなかった。
何を問われたのかはわからなかったが肯定の意を示すとぺちんと頭をたたかれる。
「聞いてなかったろ」
痛くはなかったけれど「痛い」と告げてみた。
溜め息をついた一護がもう一度ぺちりと私をたたく。
「そう何度もたたくな」と口にすれば適当な返事を返されてしまう。
どうやら口喧嘩には発展しないよう。
「手」
ずいっと差し出された手に手を重ねるとしっかりとつながれた。
「つなぎたかったのか?」
問うと、悪いかとでも言うように拗ねた顔。
「あー、今度の休みはデートな。どこ行きたいか考えとけよ」
背けられた顔は見えなかったけれど、つないでいる手に力がこめられた。
見上げたそこにはあかく染まった耳。
おそらく顔もまっかなのだろう。
「うむ、楽しみだ。どこがよいかな」
甘味屋、公園。
あ、ぴくにっくとやらがいいな。
早起きして、一護の好きなおかずとたくさんおにぎりを作って。
でも、ウサギを見に行きたい。
遊園地も楽しそうだ。
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