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□雷ごろごろ
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学校から出たときに遠くの方で鳴っていた雷は今まさに頭上で鳴り響いているかのようだった。
やはり一護を待つべきだった。
そうすればこのひどい雷と風と雨の中でも楽しかったに違いない。
今更言ってもしかたのないことだが。
残り少ない黒崎家までの距離を駆ける。
「ただいま」
誰もおらぬのか?
おじ様も?
びしょ濡れのまま室内に上がるのをためらっていると、何かが突進してきた。
「おねーちゃーん」
涙声の遊子だった。
「遊子、どうかしたのか?」
「だ、だって…か、かみ……きゃー」
ビリビリと空気が振動する音に遊子が悲鳴を上げる。
「雷が怖い?」
「怖い…きゃー、お姉ちゃん」
ぎゅうと抱きしめる力は緩まず、その小さな身体は震えていた。
「大丈夫だ。ここには落ちないよ。遊子、私が一緒にいる」
「うん」
とんとんと遊子の背を叩くとようやく落ち着いたのか照れくさそうに笑っていた。
あたたまるようにと命が下されて、冷えた身体を湯でぬくめた。
廊下へと繋がる扉を開けると小さくうずくまった遊子がいた。
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