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□年下彼氏の甘え方
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「なあ、ルキア。キスして」
補習プリントとにらめっこしていたルキアは、その声に顔を上げた。
「一護…?」
「ルキアから、キス」
「な…なぜ?わ、私は今勉強中なのだぞ!?」
硬派なイメージ作りを普段からしている一護が突然ねだるようにそう言ってきたものだからルキアは動揺を隠せなかった。
「俺とキスすんの、嫌?」
一護は困ったように目尻を下げ、ルキアの大きな瞳を覗き込む。
まるで仔犬のように。
「い…嫌なのではなくて…だって、一護…ここは、教室だろう!!」
顔を真っ赤にして恥ずかしそうに告げたルキアに一護は「いやだ」と言った。
「今、ルキアからキスしてもらいたいの」
「だ…から…」
どうしても一護の顔を見ていられなくなり、苦手な英語が並ぶプリントに目を移したルキアに一護は触れた。
額を隠す前髪を右手で払い、そのまま顔を近づける。
かすかな音を立てたあと、額から唇を放す。
惜しむように右手は頬を撫で、ルキアのふっくらとした唇を親指でなぞった。
一護はルキアの深青の瞳を見つめたまま微笑う。
「なあ、キスしたくなった?」
こくんとうなずいたルキアに一護はさらに笑みを深くする。
「じゃあ、ルキアからだな」
一護からはしてくれないのかと問うように首を傾げると一護は蜂蜜色の瞳を閉ざした。
ルキアから触れるのを待つために。
ルキアは悩むが、一護は瞳を閉じているから何の反応もない。
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