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□桃色にゃんこ
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写真を眺めてもそこに写されているふさふさに触れるわけではない。
けれど手繰る手は止まらない。
感触を憶い出したくて、その姿を見たくて。
一護が普通に戻って二週間が経った。
本人は清々したと代行業を行うときも、そのあと二人で部屋で過ごすときも言っている。
でも、私はもの足りない。
あの毛並みに、触りたい。
耳にも、尻尾にも。
ほんの少しの時間でもいいから触れたい。
近所に住む飼い犬や野良犬に何度か触ってみたけれど、あのやわらかな感触はえられなかった。
一護しか、持たぬのだとしたらもう一度、彼にそうなってもらうしかない。
こういう願いを叶えるなら、浦原しかおらぬな。
貸しを作るようで嫌だが、一護共々遊ばれそうで困るが、
それでも、もう一度と願いたくなるぐらいあのふさふさは心地良かった。
あまりぐずぐずしていると一護より先に帰れなくなるな。
思い立ったが吉日とも言うし、よし頼もう。
屋上から浦原商店まで駆けた。
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