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□安眠のため
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「いーちーご、いーちーご、一護」
死覇装姿のルキアが背後からのしかかるように抱きついてきた。
「うおっ」
ぐっと首元に腕が回されて、首を絞められる。
剥がしにかかると一層絞めにかかられる。
「絞めんな、腕緩めろ」
廃ビルの屋上の柵は壊れていて虚退治を終えたあと、なんとなくそこに座ってみた。
足をぶらぶらとさせて下を見れば足下にあるのは入り組んだ路地。
人の気配はまったくしない。
ルキアと二人きりだ。
「帰らぬのか?明日も学校だぞ」
「んー」
腕は緩められて、けれど全体重でのしかかっている。
重くはない。
背に乗せて走っていた時も、抱きかかえた時もルキアを重いと思ったことはない。
その軽さを心配になったことはあっても。
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