そのあと
□ココア
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一護が手渡した湯呑みをルキアは確認することなくすすった。
「…ん…一護。これ、ここあだ」
「久しぶりだろ」
こくこくとうなずいたルキアは両手で湯呑みを持つ。
完全に仕事を放棄するように机から離れてソファに向かった。
一護もルキアを追いかけるようにして隣に座る。
二人並んでココアを味わう。
あったかさとやさしい甘さに思わず吐息がもれた。
「うまいなあ。いったいどうしたのだ?」
「さっき夜一さんがお裾分けだってくれた」
「夜一殿が?」
「そ、ミルクと一緒に。なんかすげーご機嫌だったな」
一護が懐から取り出したのは、現世でよく売っている粉のココア。
「私の好きなめーかーだ」
「おまえ、寒くなってくるとココアになるんだよな」
ルキアが好んで飲んでいたメーカーのものは他よりも甘い。
砂糖を入れなくても十分甘いと一護は思っているのだが、ルキアはその粉にスプーン一杯分の砂糖を混ぜるのだ。
だから、ルキアの湯呑みには砂糖が加えられている。
「甘くて好きなのだ」
「いろんなメーカーの買って試してたしな」
あの時は朝昼晩とずっと飲み物はココアだった。
冬場だけじゃ飲みきらなくて、あったかくなってもしばらくはアイスココアが出されていたと一護が懐かしんでいるとルキアはふんわりと笑った。
「よく貴様と二人で飲んだな」
「だな。暖房の効いた部屋なのにくっついて」
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