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□はっきりしていること
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『今日は未来の自分だからな。一年後、三年後、十年後……何をしていると思うか、何をしていて欲しいか、自分がどうなっているかできるだけ詳しく書くよーに』
将来の自分なんて、そんなにはっきりと意識したことなんてない。
「一護はやはり医者を目指すのか?」
「そのつもり」
ルキアと並んで家へ帰る。
それがずっと続くって俺は思っていたのかもしれない。
ずっと高校生のままなんてあるはずもないのに。
「貴様らしいな」
何がうれしいのかルキアが声を立てて笑う。
「そうか?」
「そうだ。貴様は護りたい病にかかっているからなあ」
「護りたい病って…なんだよ」
「そのままだ。誰かを何かを護ることが好きだろう」
「好きつーか、気になるだろ。誰かが困ってるって」
後ろ向きで俺と会話しながら歩いているルキアが石につまづいた。
片腕で抱き寄せると、また笑う。
言ったとおりだろうとでも言いたげに。
「俺は、誰よりも護りたいって思うのはおまえだよ」
「ふふっ、そうか。このようなところで告白とは恥ずかしいやつだ」
照れ隠しのためか、ぺしぺしと俺を叩く。
だからもっと照れさせたいとか思って、ほんの一瞬唇を触れあわせた。
「…まったく」
「んなこと言ったって、したくなったんだからしゃーねえだろ」
背伸びしたルキアの細い手が肩にかかった。
身をかがませる。
ルキアからしてくれるキスを待つために。
なのにだ、べちんと額を叩かれる。
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