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□逆転
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「好きだぞ、一護」
ベッドに寝転んで雑誌に目を通している俺に、床に座って同じように雑誌を見ていたはずのルキア。
そのルキアを起き上がって見つめると、薄く頬を染めていた。
発した言葉を恥らうように、でもうつむきはしないで俺を見つめている。
「ル、キア…」
「一護は、私のこと好きか?」
潤んだ瞳に、震えた声。
だから思わず。
「好きだ。ルキアが」
「…そうか」
「そうだ…」
答えたのは良かったものの、ルキアを見つめているだけの度胸はなくて顔を背けた。
頬といわず身体ぜんぶが熱い。
ただ言葉を発しただけなのに。
いつも想っていることを届けただけ。
それだけだ。
どくどくとつよく脈打つ心臓がうるさくて仕方がない。
落ち着いてなんかいられない。
意識してゆっくりと呼吸を繰り返す。
それでもなかなかおさまらない。
感じるのは視線。
その主はルキアしかいない。
熱いといえるような視線だから見つめ返す。
射るような眼差し。
囚われたくなる。
じりっと近づけば、びくんと肩を跳ねさせた。
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