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□家族計画
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天災は忘れた頃にやってくる。

俺たちの場合は天災じゃなくて人災だけど。

人災もおかしいか、あの人は確実にわかってて人体実験という名の遊びをしている。







GWの初日、一護とルキアは浦原商店にいる。

義骸のメンテナンスのために。

最初はルキア一人で来るはずだったのだが、行き先を告げた途端、一護も行くと言い張った。

で、現在に至る。



浦原さんの言うとおりに手足を動かすルキア。

具合を見るようにルキアに触れる。


「黒崎サン、そんなに見てたらアタシの手元狂いますよ」


ちょうど、注射針をルキアの白い腕にさすところ。

一護が見つめているだけで手元が狂うような精神の持ち主ではないだろうという意味で睨みつける。


「朽木サン、そんなにアタシいい男ですか?」


ふざけたことを抜かしおった。

その間にも注射をし終え片づけを始めている。

何か言い返したいがそれさえも逆手に取られて二人して遊ばれる。

さっさと此処から離れよう。


「一護、行こう。早くせねば」


眉間のシワが来た当初より増えているのはこの変態商人のせいか。

わざと手を絡ませ引っ張る。

ガラスの引き戸を開けると五月晴れ。


「朽木サン、よくお似合いっスね」

「あたり前だろう。遊子と夏梨からのぷれぜんとだ」


くるりと一回転してワンピースの裾がひらりと舞う。

また黒崎サンの霊圧が無駄にあがってますねぇ。

これ以上からかうと爆発しちゃいますかね。


「行ってらっしゃ〜い、お気をつけて〜」


扇子を開き、パタパタと振る。

その見えない口元は笑みの形。



それを知らない手をつないだ恋人たちが日の下へと駆けていく。
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