V
□どこが? 一護ver.
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普段そういうことを口にしない彼女がぽつりと零したつぶやき。
それを聞き逃すことをボクはできなかった。
放課後の教室はグランドに響く声とは対照的に静けさを含んでいる。
一護と水色は二人しかいない教室で向きあっていた。
不機嫌を隠さない一護に面白そうに笑う水色。
一護はこのまま帰りたくなったがルキア待ちをしているためにこの場を動けない。
そして何より、水色が一護を逃すはずがなかった。
はああと溜め息をついた彼に小柄な彼が問いかける。
「断ったんでしょ。何をそんなに気落ちしてるの?」
「ああ。…って、なんで知って…」
「ボクのこと見くびらないでね。相手のコの情報も知ってるから」
さらに大きな溜め息をついたオレンジの彼に笑う。
「別に一護が落ち込むとこじゃないでしょ。失恋には新しい恋だよ」
「そっちじゃねえ」
「朽木さん?」
ルキアが避けてる。
こういう時は必ずだ。
ほんの小さなことだけど、触られるのを嫌がるみたいに一歩距離を置く。
しばらくすればそんなことなかったようにいつもの距離に戻るけど。
告白されたことも断ったことも言いはしない。
答えなんてわかりきってること知っているだろうし、わざわざ口にすることでもないから。