V

□とくとくと鳴る。
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「ん〜。ふぅ。ぬー」


何をしているかと思えば、俺の目の前でルキアが格闘中。

敵は蓋のかたいジャム瓶。

顔を真っ赤にしてジャム瓶を睨みつけてる。

かわいい。

とくとくとくと心臓が鳴る。

ルキアのふとした表情や行動に刺激されて早くなる。

おかしなくらい正直にルキアにしか反応しない。

今もほら、俺のほうを伺っている、上目遣いで。

手を差し出すとジャム瓶がのせられる。

少しつよめに力を入れるとあっけなく蓋は開いた。

「ありがとう」そう言って受け取ろうとしたルキアの手と俺の手が触れる


ごとん。


二人で同時に手を引いたもんだから受け止められることのなかったジャム瓶がテーブルに落ちた。

幸い中味は零れていないし、瓶も割れていない。


「大丈夫?ケガしてないー?」

「あっついねぇ。それで甘いねえ」


キッチンから聞こえた心配の声とは反対にすぐそばで聞こえたからかいの声。
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