御注文品/承り物

□少年デイズ
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近い。
すっげぇいい匂いがする。香水なんて多分付けてないだろうし、そうだとしてもオイラにはわからない。その香りは突き抜けてくる。頭がくらくらする。逃げようにも動くなと言われる。しかも後ろは壁でもう後がない。近すぎて、再開した時から身につけているバンダナの繊維まで見える。

「やっぱ…いいって。服なんて適当にあるし」

「ダメよ。黙って待ってなさい。まだウエストも測ってないんだから。」

全身の筋肉が異常に硬直する。アンナは肩幅、背丈、胸囲 …次々とオイラの体にメジャーを巻きつけていった。早く終わってくれ。真剣な面持ちで目盛りを見るこいつが顔を上げたら、そこで終わりだ。何が終わりなのかはわからんが、とにかく終わりだ。こんな顔見られたら…

ウエストにアンナの両腕がまわった。かすかに体がびくん、と痙攣した。この体制は…まずいだろ!

「うん。やっぱり細いわね」

「…どういう意味だよ…」

「もっと腹筋つけないとってことよ」

ひととうり測り終わり、メジャーが体から離れた。オイラはそのタイミングを逃さなかった。

「お…終わりだな!ロードワーク行ってくる」

極力顔見られないようにして、玄関へ逃げた。気が付いてしまったから。避けるべき、まだ測っていない部位に。



それは『股下』。



冗談じゃない。ていうか、そこは、無理。
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