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□010 露出
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私は少しおかしくなってしまったのだろうか?
「何ボーッとしてんだよ滝夜叉丸」
四年合同の実技授業で汗まみれになった体を水に浸した手ぬぐいで拭いながら三木ヱ門が口を開く。
その声にはっと我にかえった。
「いや…何でも無い」
私も井戸から水を汲み上げて、手ぬぐいを浸す。
三木ヱ門は不思議そうにこちらを見ていたが、少しして視線を外した。
充分に水を含んだ手ぬぐいを取り固く絞る。
上着をはだけて下着を脱ぎ上半身を晒して、それを肌に置くとひんやりして非常に心地良い。
きっと暑い中の実技だったから疲れていたんだ。
…そうに決まってる。
じゃなきゃ、何でこんなに三木ヱ門を見てドキドキするんだ。
ちらりとまた視線を向ける。
石火矢を平気でぶっ放したりしてる割には線が細い。
腰なんか抱き着きでもしたら折れそうだ。
無意識にまたぼんやりと眺めて居ると、唐突に頭から水を掛けられた。
一体誰だ。
多少イラつきながら振り返ればそこには手ぬぐいを肩に掛けた喜八郎が居た。