短編モノ

□拍手
1ページ/16ページ

Summer limitation 

「ほら、さっさと脱ぎ。」


「嫌だ!」




「はよ」




「やだ!!」




暑い日差しを遮るパラソルの中で私の着ているパーカーの取り合い。



まわりの人からは
バカップルが何やってんだ…
的な感じで見られていた。



揺れる白波


暑い日差し


そして、




……水着…。






…私とギンは仕事の休暇をとって海に来ていた。




青い海には波が立ち、泳いだりサーフィンをしている人がいる。



砂浜にはカップルや家族連れで遊びにきていたり夏休みに入り、遊びに来ていることが窺える。



勿論、ほとんどの人が水着で、ギンや私も同じように水着を着用している。



のだが、私は明らかに水着姿を隠すために上から半袖のパーカーを着込んでいた。



「日焼けが嫌なんか?せやったら日焼け止め僕が塗ったるさかい…」


「違う!ってかギンには塗ってもらわないから…」




そういってまた私の必死な抵抗が始まる。




私だってギンと海にきて泳ぎたいと思い、休暇を取るために必死に仕事をして、休暇の日の仕事も終わらせた。



ただ…



周りで同じように海に来ている女の子を見て、正直、

負けた、


と思った。


最近の子は発育がいいというが良すぎだろう…。


私の体はギンと同じように海に来るために義骸を使っているが、流石にスタイルには自身が無い。


その為ギンが水着の上から来ている服を脱がそうとするのを必死で止めているのだ。

「意地はらんとホラ…」

「…ぅわ!」

余りに抵抗する私を一瞬縛道で動けなくし、その隙にファスナーを下に下げ、服を剥いだ。


縛道が解けて体が動くようになると恥ずかしさから自身の肩を抱くようにして体のラインを隠す。


「…似合ってるよ」


いつもの狐目で身体をそれこそ足の爪の先から頭のてっぺんまで見ていく…

水着の色は淡い紅。
これもギンがいつのまにやら買っていた品物。

勿論ビキニの為お腹の部分は晒されていて、自身の体形がどうしても気になってしまう。


「うーん僕的にはもうちょい身ついててもええんやけどな」


腕を組んで顎に手をそえるような格好をして口角を上げてそういってくる。 


「……せやけど…」


「…な、なに?」


ヒョイッ



腰に腕を回され、肩に担がれるとバランスを崩しそうになり、あわてて首に捕まる。


ギンの無駄な肉が一切省かれた肌が触れ、不覚にも一瞬赤くなってしまった。


他の男に見られるんは



おもろないわ…


自分の彼女に注ぐ視線の方向にひと睨みをして

縁に置いてあった服を上に羽織り、彼女にも先程着ていた半袖のパーカーを着せ、砂浜を歩き、泊まる予定のホテルへと足を進める。



キミを見るんは僕だけでええねん。


そやろ?


閉じた瞳をうっすらと深紅に近い色の瞳を開き、口角を上げ、ホテルの中へと姿を消した。


End

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ