カプ向けな20のお題

□06:会えない時間は(ゲオカイ)
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その日はゲオルグ殿がセラス城に帰って来た時、オレは王子のお供に入らず留守番をしていた為、久々に二人で過ごす時間ができた。

夕食をレストランで取ったあと、ゲオルグ殿の部屋へ向かう。その途中すれ違う女の子と少し立ち話をしてたら、ゲオルグ殿は一人で先に歩き出して行ってしまい、慌ててオレは追いかける羽目になった。

『自分はさっきチーズケーキに夢中でオレをほったらかしにしたくせに。』

と少し腹が立ったが、数週間に1度会えるか会えないかのこの貴重な時間にそんなことにこだわっているのはつまらないと思い直して
小走りに彼に追いついて、一緒に部屋へ入った。

その時はゲオルグ殿もこだわっていない様子だったが、しばらくお互いの近況を話し合っているうちに、

「いつも俺がここにいない時、お前はどう過ごしてるんだ?」

と唐突にゲオルグ殿が聞いてきた。
さっき女の子と喋っていたの見たからか、何かまた含むところがあるんだろう。

この人はいつも飄々としているようで、実は意外と独占欲が強く、嫉妬深い。

以前にもオレがヴィルヘルム殿と女の子談義に楽しく花を咲かせている所を見かけて、ヴィルヘルム殿がオレに気があると誤解するなど、妄想癖もある。

いつも大人なゲオルグ殿がオレのことになるとそんな風に変になってしまうところをオレはちょっとかわいいと思っている。なので少し意地悪してみる。

「またオレが浮気するとか襲われるとか、変な妄想思い付いたんでしょー?そんなに心配なら今度出かける時はオレも連れてって下さいよー。」

「む…。それはできん…。」

ゲオルグ殿は表情に出してないつもりだけど、オレにはちょっと困った顔になったのが見て分かる。
意外ときいたかな?

今は戦争中。彼には彼の、オレにはオレの役割がある。
軍師殿に言われるまでもなくオレ達はそれを認識し行動している。私情を優先することはありえない。

「冗談ですよー。ゲオルグ殿がいない時、大抵は王子のお供で出てますし、城にいる時王子のお部屋の見張りしてますしー。」

「そ、そうか?」

「そうですよー。さ、そんなことより、明日早いんでしょ?早く寝ましょー!。」

「いやに積極的だな。」

「…違いますって……ちょっ!ゲオルグ殿っ!?」

先ほどまでは子供のようにかわいと思えていたゲオルグ殿の表情は、今は戦闘の時のように自信に満ちたものになっている。
この余裕5歳の年の差位のレベルじゃないよね?
今度はオレが彼の思うようににあしらわれ、あっという間に火を付けられて彼の思うがままに落ちて行く。



翌朝、といってもまだ日も昇っていない時間、気配で目が覚めた。
すでに旅支度を終えたゲオルグ殿が目に入る。
心臓がきゅんと締め付けられる。


「すまん、起こしたか。」

「行く時には起こして下さいって言ったのに…。」

「だが、疲れているだろう?」

「そんなの余計な心配ですー。」

オレは口を尖らせて憎まれ口を叩く。ホントはこんなことを言いたいんじゃないのに…。

ふと彼がかがんでオレの額にキスをした。そして額同士を合わせて、至近距離でオレの目を覗き込む。

「…行ってらっしゃい。」
オレはやっとその一言を言うことができた。

「行って来る。留守を頼むぞ。」

「はーい!」

今度はオレがゲオルグ殿の首に腕をまわして、ぐっと引き寄せ、キスをした。

「気をつけて。」


束の間の逢瀬は終わり、またゲオルグ殿と会えない時間が始まる。日常の生活に戻るだけな筈なのに
少し寂しさを感じる。

今日も王子のお供が無いので(これはゲオルグ殿が帰ってくるのを知っていた王子が気を利かせてくれたんだろうな。)、女の子の所へ行こうかなー?とも思ったけど、その前にゼガイ殿の所へ武術指南を受けに行くことにした。

太陽宮を出るまではあんなにサボっていた鍛錬を実はこの所欠かしたことがない。
フェリド様が今のオレを見たら死ぬほど驚くだろうなー。

でも、オレは早く彼に追いつきたくて…とりあえずオレにまず、できそうなことをと思って努力することにした。
早く彼に相応しい男になれるように…。隣に並んで立てるように…。

end
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