カプ向けな20のお題

□07:手をつないで(ゲオカイ)
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「おい、カイル!あまりウロチョ
ロするな。はぐれるぞ。」

俺は少し距離の開いたカイルを手招きしながら呼びかけた。


「はーい。」

生返事はするもののカイルはあいかわらずキョロキョロしている。
ようやく隣に来たカイルと連れ立って歩き出す。

二人でファレナを出て旅をして、数ヶ月経つが、今日のカイルはことさら浮かれているようだ。

「こんな夏祭りなどたいして珍しくもないだろう?レルカーやソルファレナの祭りの方が大きいだろう?随分なはしゃぎようだな。」

「えー、だってオレ、ふつーの人として祭りに来るなんてほとんど10年ぶりですもん!新鮮ですー!」

「10年ぶり?普通の人?」

「オレ、レルカー出てしばらくしてからアーメスが侵攻してきて、世間は祭りどころじゃなかったし…。
次の年からはファレナで見習いしてて、王子とリオンちゃんとお祭り行きましたけど、やっぱり護衛だからオレがしっかりしてなきゃいけなかったから緊張してたし。で、正騎士になってからは、警備とか式典とかでお仕事だったわけですよ。」

「ほう。」
ああ、そういえばコイツは16でフェリドに拾われてきたのだったな、と思い出した。


「だから、オレ自身がこんなにリラックスした状態でお祭りへ遊びに来るのはほんと久々なんですねー。
しかも、ゲオルグ殿と一緒でしょ
ー。こんなの初めてで嬉しいですー!」

そういってカイルは俺の手を握った。

「…何だ?」


「手、つなぎましょ?」

天真爛漫な笑顔を浮かべてカイルは言った。


「お前は子供か…?」
皮肉な笑顔でカイルをに突っ込みを入れたが、すかさず返された。

「いつも子供扱いしてオレの事馬鹿にするくせに、こんなときだけ大人を求めないで下さいー。」


何だ、その勝ち誇ったような顔は…とは思ったが。

まあ、この街に知り合いもいないし、夜、人ごみの中ではそうも目立たんだろう、と俺はカイルの手を引いて歩き出した。

「えへへー。」
いつもよりさらに目尻を下げてカイルは笑っている。

カイルの嬉しそうな顔を見ていれば、俺には何でも良くなる。
その夜は、宿にか得るまで手をつないで祭りを楽しんだのだった。

end
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