カプ向けな20のお題
□08:夢が覚めるとき(ザハカイ)
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明け方目が覚めてふと隣に横たわる男に眼を向ける。カイルは起きる気配はない。二人の間にはお互いの長い髪がシーツの上で合わさっている。
柔らかい金の髪と硬い直毛の灰色な自分の髪。同じ場所で交わって乱れても決して絡まり混じり合うことのない、異質なお互いの髪。
指で掬って弄ぶ。持ち上げて手を放すと見事なくらいお互いの持ち主の方へと別れて落ちる。
まさしく自分たちのようだと思う。
いつか自分と同じ未来を見てくれることを淡く期待してきたことは否めない。しかし同時にそれはありえないことだとも覚悟はしていた。
この男は決してこちら側には付かない。8年間の自分達の関係をもってしてもこの男の忠誠を覆すくとはできないであろう。
決行の日は刻々と迫ってきている。
私もこの8年の夢から覚める時がきたようだ。
誰かに貴殿を奪われるくらいなら、この手で永遠に…。
戦士にしては細い首に手をかける。
「…ん…」
あがった声にすっと手を放し、寝返りを打ち彼に背を向ける。
背中に感じるぬくもりは今日が最後になるのだろうか…?
end