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□後の月
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ゲーム本編終了後設定/ゲオルグ+カイルで一緒に旅をし始めた頃



「何だ、月見か…?」

「ゲオルグ殿…。」

「部屋にいなかったからどうしたかと思ったぞ。」

一緒に下の酒場で食事をしたあと、ゲオルグ殿は道具屋に野暮用だというのでオレだけ先に上の宿の部屋へ戻ると別かれたのは1時間ほど前。
その後部屋へ戻る途中、廊下の窓から覗く月に魅かれてオレは部屋へ戻らず、テラスへ出たのだった。

「心配かけてすみません。でもそんなに酔ってませんから大丈夫ですよー。」

「そうか…。」

酒は食事の際に少し飲んだだけ。酔うほどのものではないので心配いらないんだけど、ゲオルグ殿は部屋へ戻る素振りを見せなかった。
ふと彼が言った。

「今日は後の月か…美しいな。」

「…後の月?」


「十五夜の後の十三夜の月で、後の月とも言う。ファレナには無かったか?」

「うーん、聞いたことありませんねー。」

フェリド様に教えてもらうまで十五夜も知らなかった無学なオレにはそんな言葉は全く初耳だった。


確かに見上げれば、曇りのないすっきりとした空の色で金色の月の色。改めて美しいと思った。

「?」
急に背中と腕が暖かくなった。
いつの間にかすぐ後ろに来ていたゲオルグ殿が自分の外套を羽織らせてくれていた。

「そんな薄着では寒いだろう?」

ファレナにいた頃より優しく見えるのは両目があるからかな…?などと思わずその表情に見とれてしまう。我にかえって慌てた。

「平気です、オレ平気ですからっ!」
慌てて脱ごうとすると、そのままでいろというようにゲオルグ殿の手が外套を押える。
外套越しに感じる手の平の感触に心臓が高鳴った。

「俺は元々長袖の服を着ているからな。お前その服では寒いだろう?
風邪などひかれてはかなわんからな。」

「うーん。ではお言葉に甘えて…。」
そう言えば見かけによらずこの人は世話好きだったなと思い、オレは素直に外套を借りることにした。
でもオレの手を押さえていたゲオルグ殿の腕が離れていくのを残念に感じるのは何でだろう?


そしてゲオルグ殿はオレの隣に来て、テラスの手すりに手をかけてオレと同じ姿勢で月を見上げて言った。

「もう少しお前と一緒にこの月を見ていたいからな。」


「…え?どういう意味…?」

驚いてゲオルグ殿を見たオレを、月と同じ色をしたゲオルグ殿の瞳が捕えた。

空の月に劣らぬその美しさ、強さにオレは目が離せなくなった。

end
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