短編小説

□恋愛
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前方を歩く茶色のネコ毛を見つけ、気配を消して背中に飛びつく。


「おっす、はよ!スザク」
「お早う、ジノ。君の朝の挨拶は、人に飛びつく事から始まるのかな?」


最近ラウンズ入りした枢木スザクの見た目に裏切る嫌味を無視し、肩を組んで歩き出す。
名門貴族のジノは、貴族らしからぬ性格で、スザクの事を友人として接していた。異例のナンバーズがラウンズに入った当初、賛否両論あった。貴族は勿論の事、皇族の一部からも批判は受けたが、皇帝の「わしの決定に文句でもあるのか?」の一言で収まった。

それでも陰口は止まらない。自分はナイトオブセブンとして皇帝に忠誠を誓った身。それを誇りにして、周囲の反応を無視した。
・・・親友を売って手に入れた地位でも。


「スザク。私の話しを聞いているか?」


顔を覗きこまれ、思考に没頭していたスザクは、ジノの空色の瞳で現実に戻ってきた。

―――――ルルーシュのアメジストの瞳が見たい。


スザクの想い人は、皇帝に記憶を書き換えられ、ゼロだった事を忘れ、監視の下エリア11で静かに暮らしているはずだ。



考えれば考えるほど、ルルーシュの事を思い出すので無理やり思考を切り替えた。


「久しぶりにジノを見た気がするんだけど、任務だったのか?」
「・・・ラウンズの宮から引っ越した」
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