短編小説
□恋愛
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―――――お前はぁ、何故そんなに泣くぅ。
「・・・何もかも失ってしまった」
―――――失ったぁ物はぁ、なんだぁ。
「・・・襲撃で母上を、ブリタニアとの戦いでナナリーを。慈しんでくれた異母兄妹を殺してしまった。そして親友をも失った。大切だった記憶も!」
―――――それはぁ、自業自得の結果だろぉう。
「うるさい!貴様に何が分かるっ!男と偽り17年も生きてきて、その間にあった大切な記憶を書き換えられたんだぞ!!書き換えられるくらいなら最初から記憶なんかいらない。必要ない!」
―――――お前はぁ、何を望む?
「・・・新しい人生を送りたい。皇族とか関係なく、性別も偽らず、普通に暮らしていけたら十分だ。失う事もなく、好きな事が出来ればそれでいい」
―――――お前の持つ運命からはぁ、逃れられんがぁ、それでも良いのならば生まれ変わるがいい!
夢の中で話す人間の喋り方には頭にきたが、何故か自然と涙が流れていた。
夢の中なのに頭を撫でられる感触がある。
優しい手付きだが、その手からは妙な緊張感を感じとれた。
慣れない事をするからだ。
誰に言いたいのかは分からなかったが、ぎこちない手の動きに、夢の中でルルーシュは微笑んでいた。