短編小説

□いやし。
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季節の花が所せましと咲き誇るアリエス宮。

他の皇妃宮とは違い、薔薇の花が少ない庭は、宮の主と二人の子供、後見人の孫娘の趣味で出来ている。

殆どの妃の宮の庭が薔薇で飾られているの対して、アリエス宮は薔薇よりもシロツメクサやタンポポ。
温かみを与える草花が多かった。

他の皇妃達から見れば「雑草の庭」と呼ばれようと、夏には向日葵で天然の迷路が出来上がるし、春には色とりどりのチューリップが春風に揺れている。
見栄や権力だけで飾り立てる離宮よりも、安らぎと温かみで出来た手作りの庭は、見た人々に癒しを与えた。



殺伐とした皇帝宮から安らぎを求めて、この宮に足を運ぶ異母兄弟姉妹達は少なくはない。「皇妃同し仲が悪くとも、子供を巻き込むのはおかしい」と、アリエス宮の主人マリアンヌは身分も関係なく皆平等に“1人の人間”として接してくれる。

マリアンヌの二人の子供、ルルーシュとナナリーも皇族にしては素直で優しい性格に成長していた。これは庶子出身のマリアンヌ皇妃の教育の賜物だろう。

邪魔者や腹黒い臣下達(特に三段ロール頭)とは余り謁見させず、「自分の事は出来る限り自分で行う事。己の身分を軽く扱わない事。誰に対しても優しい人間である事」それが皇妃マリアンヌの教育方針であった。


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