短編小説

□恋敵
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我が目を疑ったのは何度目だろうか。


8年前に離ればなれになった親友と再開した時。
ランスロットの操縦者に選ばれた時。
ユーフェミア皇女殿下の騎士に任命された時。
ゼロがユフィを殺した時。

そのゼロがルルーシュだった時・・・



そして今は、ジノの婚約者を知った時。



何をやっている、スザク!
笑え。笑うんだ!
ニッコリ笑って「おめでとう」と言わなければ!
それか「美男美女のお似合いカップルだね」って冗談ぽく言わなければ。


―――――だけど!


何も出てこない。
言葉にならない。

ジノの隣で嬉しそうに微笑むルルーシュを見る事が出来ない。

夢であってほしい。幻であってほしい。
ルルーシュの心からの微笑みは、スザクだけの物だ。
ルルーシュの傍で笑っているのも、ジノではなく己でなければならない。

ルルーシュが平和で幸せに暮らせる世界を造って、迎えに行くと決めていた。

記憶を書き換えられたルルーシュとは昔のような親友に戻れなくても、友情から愛情に変わるまでじっくり時間を掛けて育んで行くと決めていた。

同性同士とか関係なく。
敵とか仇とか関係なく、自分の中に芽生えた気持ちを伝えると決めた。


それがユフィを裏切る行為であると理解していても、優しい亡き皇女ならば「私の仇など考えていないで、自分の気持ちに素直におなりなさい!私はルルーシュとスザクが幸せになれば、それで構いません」と応援してくれるはずだ。


自分自身に都合の良い事だとは、十分理解していた。
ユフィもルルーシュの幸せを願っている一人だったからだ。


ルルーシュを幸せにするのは自分の役目だったはず・・・

決してジノではない!



ルルーシュの傍らで幸せそうに微笑む同僚に、何も写していない眼差しを向け


「お幸せに」


偽りの笑みと、心の込もっていない祝辞を贈った。




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