リク&拍手

□DRUGパニック
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パソコンのディスプレイを見つめながら、高速で指を動かし、次々と仕事を片付けていく。

門限のある寮とは違い、クラブハウスに住むルルーシュは、一人残った書類の打ち込み作業に没頭していた。

会長が溜めていた書類整理が遅くまで掛かり、そろそろクラブハウスの自室に戻ろうかと荷物を纏めていた。

くしゅん!

夏の終わりとはいえ、近頃夜分が冷え込んでいる。
衣替えもまだな季節なだけに、アッシュフォード学園の夏服だけでは肌寒い。


「本格的な風邪を引く前に、薬でも呑んでおくか」


何事にもはじめが肝心である事を理解しているルルーシュなだけに、『風邪を引く前に薬を呑んでおく』という行動も間違ってはいない。

だが今回ばかり、そのルルーシュの考えは間違ってしまう事となる。

生徒会室の備品として置いてある薬箱を探す為に、パソコンの電源を落とし備品室に向かう。
部屋に帰ればルルーシュ自らが管理している物なので、直ぐに発見出来る代物。

の、はずなのだが。

書類や会長の趣味で集められた粗大ごみ(←ルルーシュ談)、イベント企画の備品でやたらと荷物の多い部屋から、A4サイズほどの薬箱を探し出すのに困難を極めた。
普通の人ならばここで諦め、自室にある薬箱で良いと考えるだろう。

普通の人が持ち得ている感性とは違うルルーシュは、見つからない薬箱に変な闘士を燃やし、必死に探していた。
というよりも「絶対に見つけ出してやる!」という気持ちの方が勝っていた。


「何でこんなにいらない物が多いんだ!済んだ物から地下の倉庫に片付けておけば、年末の大掃除が楽になるものをっ!!」


ぶつぶつと文句を吐きつつ、床の面積が余り見えない室内を捜索する。

確か明日は軍が休みだと言っていたスザクが登校してくるはず。
次いでにヴァインベルグにも、手伝わせてやろう。

くくく。
人の悪い笑みを浮かべながら、片付けを開始して1時間(!)後、お目当ての物を発見(発掘)する事に成功した。

寒かったはずの気温が気にならないほど汗をかいたルルーシュは、額の汗をシャツの袖で拭い満面の笑みを浮かべる。

備品で足の踏み場もなかった別室は、必要な物と不要な物に分別されている。
ルルーシュの性格が完璧に出ている室内に、本人は満足気に微笑んだ。



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