ただ君を想う
□第1話
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「うるせー!それを言うなよー」
そう、不良の俺の名前は直人。なんとも、誠実そうな名前で嫌いだ。
そのため、仲間達にも名前は教えていない。
もっとカッコ良くて、強そうな名前が良かったなぁと今でも本気で思っている。
そんなに呼ばれるのが嫌な名前を、早苗に教えられたのはなぜだろう?
早苗とは、この病院に入院している患者で、今、話している相手。
年は教えてくれなかったけれど、話の内容や見た目からして20歳ぐらいだろう。
早苗は、生まれたときから心臓が弱く、入退院を繰り返していたらしい。
今では、もう入院生活が当たり前になってしまったらしいけど…
病院に長く入院しているとは思えない程、早苗は明るくて、面白かった。
俺は早苗といる時だけ、本当の自分でいられるように感じた。いや、本当の自分でいられたんだ。
「でも、いい名前じゃない?直人って。」
ほら、早苗が“直人”って呼んでも苛立たないで素直に受け入れている自分がいる。
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