日和部屋

□雨音
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「大好きなんだ」

雨の音が聞こえる夜。
太子は何時もとは一転した、真剣な面持ちで妹子を見つめながら言った。

「なんですか、いきなり」

妹子は顔を合わせようとはせず、書類とにらめっこしている。
ただ…ほんの少し頬が桃色に染まっているが、本人は気付いてないようだ。
太子は頬杖をつき、そんな妹子を眺め微笑むとまた喋りだす。

「妹子が居なくなったら生きていけないかもしれないな」

太子の顔は微笑んだままだったけれど、何故か、悲しそうだった。

「本当、どうしたんです?何かあった…あ、また腐ったお菓子を食べた、とか」
「そんなのじゃないんだ。…ただ、妹子無しじゃ私は生きてゆけないな、と思うよ」
「…僕は、ずっと太子の傍にいますから」

僕がそんなことを言うとは思っていなかったのだろうか、太子は目を見開いていたのだがそれも束の間、すぐに何時ものヘニャっとした顔に戻った。

「そうだな!妹子は私のことだーーいすきだもんな☆」
「切り替え早ッ!さっきまでのムードはなんだったんだ!?」
「それが私の良いトコだもん!」
「だもん!じゃないですよ、太子。貴方が仕事しないのなら傍になんていてやりませんから。カレー臭い」

雨の音が聞こえる夜。
太子はにこにことしながら僕を見つめていた。
カレー臭いって言ったのににこにこしている太子。

・・・変態なのは相変わらずだな。






雨の音が聞こえる夜に得たモノは、太子の変態ぶりの確信と、僕への愛情でした。
 

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