星の行く末、深淵の原
□召し抱えたのは支配力
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穴だらけのカーテンから西日が差し込んでくる。外はどうやら日没の時間らしい。
ナハトがソファーから立ち上がり、腕を上げて思いきり伸びをした。
「やーっと夜が来るよ」
眩しいのが苦手なナハトにとって、自由に動き回れる夜が来るのは嬉しいらしい。
昼夜問わず動き回れるクロは、暗くなる部屋の天井に目をやった。視線の先にはかなりの数のコウモリがいて、こちらも夜が待ち切れない様子で体を揺らしている。
「もしかして……眠れなかったのか?」
腕を上げたままクロに視線を返したナハトは、一度視線を外してから笑いかけた。
「起きたばかりだったんだよ。そのうちまた眠くなる…はず」
魔族にとっても《食事》と《睡眠》は大切だが、寝貯め食い貯めも出来るので、生活リズムは個々でかなりばらついている。
生活リズムの周期がずれると、長い間一人で過ごさなければならないのだが――。
「眠くなるまでの暇つぶしがあれば結構平気だよ」
「それが、あのぬいぐるみか」
「そうそう」
太陽が山の向こうへ姿を消した。
カーテンを払い、窓を開けると、天井にいたコウモリ達が飛び立った。
窓を開け放した状態でソファーに戻ったナハトは、《食事》に関する相談をクロに持ち掛けた。
「美味しそうな子を見付けたんだ」