星の行く末、深淵の原
□再び覚醒す
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暗闇の中で――。
【2、再び覚醒す】
小さな山の麓に屋敷がある。古めかしいそれは、元の住人が不在になって久しい。
所々割れた窓、壁には蔦が這い、庭の雑草は伸び放題。夜になるとコウモリが飛び交い、住人が居ないはずの屋敷の窓に、たまに人影が映るという。地元では有名な《幽霊屋敷》だ。
「ぅえー…マジで行くの!?」
「嫌なら来なくても良いから」
その日の夕暮れ時、《幽霊屋敷》の前には二人の訪問者がいた。
友人についてきたものの屋敷に入るのは遠慮したい眼鏡の少年と、やたら目を輝かせて侵入する気満々で屋敷を見つめる茶髪の少年だ。
「目撃証言多数の心霊スポット! 最高ー!」
「……普通、近付こうとも思わないよ。だいたい、こんな田舎の山奥の屋敷なんて……どうやって見つけたのさ」
「世界の情報網と噂」
「………噂ぁ!?」
そうこう言っている内に、茶髪の少年は門をくぐっていた。
「おっじゃまっしまーす」
眼鏡の少年も慌てて後を追う。
閉じられる玄関扉の外で、二台の自転車が持ち主の背中を見送った。