増血鬼〜裏切りの王子〜

□第五夜:増血鬼
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「良いんですか?マッキー行っちゃいましたよ」

「……」

正樹が去った後に残されたサユリとリュカ。

サユリはそんな事を言う。

「……マスター?」

「サユリ、お前が正樹になんか言ったんだろ」

ギクッとなるサユリ。

その行動に、リュカは目を細める。

あたふたするサユリ。

「……まっ、マッキーが聞いて来たんで…」

「…………何を?」

「何故マスターは自分の血を吸わないのかと…」

「……それで、お前は真実を言ったのか?正樹に…」

「とっ、とんでもありません!!」

両手を振るサユリ。

本当の事を言ってないなら、それで良い……それで…。

ーーーーーーーーーー

俺は、家でジッとしてるのが嫌で瑠夏の家の前まで来ていた。

もう瑠夏、家に居るかな?

チャイムを押すが返事はない。

俺は引き返そうとしたら、誰かが近付く足音が聞こえた。

そっちを見ると、フラフラな足で歩く瑠夏だった。

「瑠夏!!」
俺は、瑠夏の方へ掛けてく……。

瑠夏は俺に気付かないのか、素通りしようとした。

俺が、瑠夏の肩を支えるとやっと気付いたのか瑠夏が顔を上げる。

「……ま……さき?」

「ん?なんだ…」

多少瑠夏の瞳が深紅だったのが気になるけど、今更構ってられない。

俺が瑠夏の家に誘導しようとしたら、物凄い圧力で耳元に何かが強く落ちた男がした。

その音は、俺の頭だった事に気付くのに時間は掛からなかった。

瑠夏は、俺の頭を押さえつけていた。

俺は、今の自分のされている行動の意味を知ろう頭を回転させるが分からない。

瑠夏の瞳は、昨日の後悔や悲しみに満ちた瞳ではなく欲望に飢えた獣の鋭い瞳だった。

俺は、瑠夏の腕を掴む。

早く……逃げなければ…。

「……正樹、怖い?」

「…………えっ?」

瑠夏は、嬉しそうに聞いてくる。
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