増血鬼〜裏切りの王子〜

□第七夜:過去の残像
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「……誰って、ヴァンパイアの奴ら全員だよ!!」

胸ぐらを掴まれて、ムッとしてるリオンはリュカの服の襟を掴み大声を出した。

そして、うるさすぎて嫌悪感で満ち溢れてる奴らに気付いて、お互い服を掴みながら広場を出た。

そして再び魔邪の森へと来た。

「……ハァ、またルカに怒られんぞ」

「それより、さっきの話の続き」

少しショボンとした俺は、小さな声でリオンに話しかけた。

「……ヴァンパイアだって、人間界に行っても狩りに失敗する事だってある」

リオンの話は、狩りに失敗したヴァンパイアは飢え死にする。

だけど、増血鬼が居れば狩りに失敗した奴らは増血鬼の血を吸えば死なない。

増血鬼は、血がいっぱい増えるからいくらでも吸える。

そして、すぐに噛み痕が治るから無駄な流血もしない。

だけど、最近…ワザと狩りを失敗して増血鬼の血を求めるヴァンパイアが増えて来てるみたいだ。

「……リオン、俺…決めたよ」

「は?決めたって何を?」

「増血鬼の子を助けるよ!!」

俺は、そのまま魔邪の森の奥へと走ってった。

リオンはポカンとしてた。

魔邪の一族の見張りを抜けて、やっとの事で魔界城の前まで来たが……。
「………俺の想像を遥かに超えたデカさだな」

そう、外見だけでも近寄り難い高級感溢れる場所だ。

しかも、何だか恐ろしいオーラも感じる。

「…っと、行く前から諦めちゃダメだよな!!」

そう独り言を呟き、大人の何倍もの高さの門をよじ登った。

幸い、魔邪の森の奥だからかセキュリティーは薄いらしくて簡単に敷地内に入れた。

そして、大きな木の横を通り過ぎようとしたら……木がガサガサ動いて、何かが上から降ってきた。

「……うわっ……!!???」

つい、大きな声を出そうとして上から降ってきた何かに口(と鼻)を押さえられた。

「……ゴメン、匿って」
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