増血鬼〜裏切りの王子〜

□第七夜:過去の残像
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ふと可愛らしい声が聞こえたが、そんな事どうでも良い。

「……んーんんんっーーーー!!!?」

「……あ」

顔を青ざめた俺に気付き離してくれた。

俺は文句の一つでも言おうとしたが、目の前の少年は綺麗で可愛いから何も言えなくなっていた。

「…君は……っ!?」

何が起きたのだろうか、目の前の少年に何故か俺はキスされていた。

頭がぐるぐるの俺に何かが聞こえた。

「……マサキ様、どちらに行かれたのですか?マサキ様!!」

必死に誰かが探してるみたいだ。

もしかして、俺にキスしてるこの子?

やがて、デカい声が遠くに消えると唇が離された。

「……なんで、その……俺にキスなんて?」

「だって、こうでもしなきゃお前また大声出して気付かれるだろ?」

やっぱり、さっきの執事みたいなおじいさんに追われてたのか。

服装も(何故か)着物を来てて上品な感じがする。

じゃあ、もしかして魔王が育てた子なんじゃ……。

でも、匿ってって……。

「…あのさ、なんで匿ってほしいの?」

ハッとしたように、俺を見る彼。

「わ、悪い…お前を巻き込もうとして…今のは忘れてくれ」

忘れろと言われても無理だ。
困ってる人が居ると助けたくなっちゃうのが俺だから……。

それに、俺……多分この子に一目惚れしちゃったから……。

「大丈夫だよ、俺だって今から危険な事をしようとしてるから……」

「危険って……そういえば、何しに此処に?」

「……増血鬼の子を助けに来たんだ」

俺は、デカい城を眺めながら言った。

すると、少年は驚いた顔をしていた。

しかし、それは一瞬だったからすぐに元の顔になった。

「……止めた方が良い、見つかれば死刑だよ」
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