増血鬼〜裏切りの王子〜
□第六夜:戻れない生活
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もう、瑠夏はこの世界に居られないって事か?
「コイツの瞳が、深紅から元の色に戻らないんだ」
「……それって、どういう…」
俺の肩をサユリが叩く。
「ヴァンパイアが血を吸う時、相手を惑わす為に無意識に深紅へと瞳が変わるんだ、だから…戻らないとなると…」
サユリが言いたい事は分かった。
瑠夏は、今…人間の血を吸わなきゃ生きていけないんだ。
それは、俺のせい……。
瑠夏が俺の血を吸ったからこうなったんだ。
俺は、瑠夏とリュカの前に飛び出した。
動きをストップした二人は、俺を唖然と見ていた。
「正樹、親友を亡くしたくない気持ちは分かる……だけど、退いてくれ」
「……退かないよ、解決出来る事は解決したい!!」
リュカの目の前には正樹の背中があった。
自分より、少し小さな背中。
そして、今でも止まる気配がない手の血。
それを見まいと、リュカは目を反らす。
「……瑠夏」
俺は、瑠夏の前に血で汚れた手を出す。
すると、瑠夏の瞳がより深紅へと変わる。
「……俺の血、吸えよ」
「……え」
「正樹!!」
俺の発言に瑠夏は唖然とリュカは怒ってるようだ。