増血鬼〜裏切りの王子〜

□第七夜:過去の残像
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「だけど魔王も寂しいね、あんなデカい城(実物見た事ないけど、多分ね)で一人暮らしなんてさ」

「……」

あり、リオンが黙ってなんか考えるポーズをしている。

「……いや、一人じゃないだろ使用人だって居るだろうし…」

「うーん、でも家族が居ないのは寂しいじゃないか」

またまたリオンは考える仕草をした。

もう、何だよ……考えるなら一気に考えろよ!!

「……家族なら居たぞ?なんか両親を殺されて魔王に引き取られた奴が、育ての親みたいな関係でな」

へー、魔王って怖い人かと思ったが案外優しいんだ。

俺が感心してると、リオンが言いにくそうに話した。

「リュカ、増血鬼って知ってるか?」

いつの間にか広場の噴水の長椅子に座ってたリオンの横に座る。

増血鬼……ずっと前に街の人達が話してるのを聞いた事がある。

ヴァンパイアなら、誰もが欲しがる程美味な味をしている血を宿す者。

今は絶滅危機だから、10万人に1人の確率で産まれるらしい。

だけど、今は魔王の話をしているのに何故増血鬼の話に?

「…実はな、増血鬼が魔界城に居るって噂があってな」

「えぇ!!?なんでぇーーーー!!?」
リオンが小さい声で話したのにも関わらず、俺は大きな声を出した。

周りの人達は、何事かと思い…見てくる。

俺は、口を押さえながら小さい声で言った。

「なんで増血鬼が魔界城に居るの?」

「……さぁ、聞いた話だと魔界城に閉じこめられてるらしいぜ」

「………可哀想」

きっと泣いてるのだろう。

暗い冷たい牢獄で……。

シュンとした俺に呆れてリオンはため息をした。

「あのなぁ、同情してどうすんだよ…それで助かる奴が居るんだから大丈夫だろ?」

「……助かるって、誰が助かるの!?」

またもや大声を出した。

だけど、今の俺はそんな事に構ってられなかった。
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