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□信号
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「祭りなんて久し振りだな」
「といっても秋にいってからだから半年ぶりだろう。」
俺は蓮二と祭りに来ていた。
「あのときは幸村たちが一緒だったからこうやって二人でいくのは1年ぶりだろ?」
「そうだったな…あのときは五月蠅かったからな…特に赤也や丸井などがはしゃいで…ほんとたるんでいるのだ!幸村はそれを楽しんでいるし…まったく…」
「…ふっ」
「む?なんだ蓮二?何を笑っているのだ」
「いや、弦一郎が話しているときの顔が嬉しそうでつい。」
何故かおかしそうに笑う蓮二が綺麗だと思った。おかしいな俺は。この灯のせいだろうか。
「そ、そんなことないわ!た、たわけ!!!」
「そうだったか、すまないな。折角祭りに来たことだ、何か食べるか?」
「そうだな…夜店にきたからにはやはり氷をたべたい。滅多に食べられないのでな」
「俺もそう思っていた。では弦一郎はここでまっていてくれ。」
「すまんな蓮二。」
蓮二が行ってから既に20分ほど経った。いくら並んでいたとしても遅すぎる。迷っているのかもしれない。迎えに行こう、そう思っていた。
「…む?あれは…」
そこには見覚えのある顔と二人の見知らぬ男。
「君可愛いね〜一人?よかったら俺たちと遊ばない?」
「嫌だ。それに俺は男だ。」
「え?周りが煩くてきこえね-んだけど。まあ一人ならいいじゃん?いこういこう」
「おい!まて、はなせっ!」
「おい、俺のつれに何をしている」
「弦一郎…」
「げ、男もちかよ。いこ-ぜ」
そう言って男どもは去って行った。
「大丈夫だったか蓮二!?」
「ああ…大丈夫だ。すまないな弦一郎」
「謝るのはこっちの方だ。蓮二を一人にするなど…まったく俺はたわけだ!蓮二殴ってくれ!!」
「自分を責めるな弦一郎。お前は悪くない。」
「しかしそれではしめしがつかん!!」
「そうか…では…」
次の瞬間蓮二は俺の視界から消え、その代わり俺の頬に唇がふれた。
「な な ななな何をするのだ!たた た たわけぃ!」
「ははっ。」
「笑い事ではない!おい待て蓮二!今のはどういう…」
「自分で考えろ、弦一郎。」
「お…おい!」
そう言って蓮二は歩いて行った。その顔が少し嬉しそうだったのは祭りの賑やかさのためだろうか。
→あとがき